小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第27話 妃の盾たち(3/4)
◆
昼過ぎ、使用人たちの特訓を終えたフェイリンが、琴房《きんぼう》に戻ってきた。
琴を弾きながら宴の曲の歌割りをしていたシャオレイは、フェイリンを見るなり質問責めにした。
「そういえば、なぜ使用人たちを護衛にしたの?
それに、私が報酬を上乗せするって何?」
「俺は、じきにリーハイの私兵団に潜入する。
そうなったら、そばでそなたを守ってやることはできない。
だから、俺の代わりを用意する」
フェイリンは目を伏せて言った。
「――代わりになるかは分からんが……」
「でも……宮廷には禁軍がいるし、後宮には羽林軍《うりんぐん》が――」
「やつらは、皇族の命《めい》しか聞かん」
フェイリンの言葉に、シャオレイはハッとした。
「――皇后の命《めい》で、私が捕らえられることもあり得るわね」
フェイリンは無言でうなずいた。
「じゃあ、報酬の上乗せの理由は?」
「ミアルが選んだ使用人だから、忠誠心は高いだろう。
だが盾となると、それだけではだめだ。
だから、金と家族で縛る」
「なるほどね。――さすが兄さん」
兄さん。
その響きは、フェイリンにとって甘く苦い毒だった。嬉しいはずなのに、喉奥がひりつく。
(いや……それでいい。それが一番いいんだ)
茶を持ってきたミアルが気の毒な義兄へ視線を送ると、フェイリンはいぶかしんだ。
「……何だ?」
「――いえ。お茶をどうぞ」
フェイリンは茶を受け取り、飲み干した後、特訓へと戻っていった。
フェイリンの背を見ながら、シャオレイはふと思った。
(そういえば、最近兄さんは予言のことを訊かないわね。
やっぱり、あまりあてにならないと思ってるのかしら?
私が役に立たなくても、冷たくされないのは助かるけど……)
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昼過ぎ、使用人たちの特訓を終えたフェイリンが、琴房《きんぼう》に戻ってきた。
琴を弾きながら宴の曲の歌割りをしていたシャオレイは、フェイリンを見るなり質問責めにした。
「そういえば、なぜ使用人たちを護衛にしたの?
それに、私が報酬を上乗せするって何?」
「俺は、じきにリーハイの私兵団に潜入する。
そうなったら、そばでそなたを守ってやることはできない。
だから、俺の代わりを用意する」
フェイリンは目を伏せて言った。
「――代わりになるかは分からんが……」
「でも……宮廷には禁軍がいるし、後宮には羽林軍《うりんぐん》が――」
「やつらは、皇族の命《めい》しか聞かん」
フェイリンの言葉に、シャオレイはハッとした。
「――皇后の命《めい》で、私が捕らえられることもあり得るわね」
フェイリンは無言でうなずいた。
「じゃあ、報酬の上乗せの理由は?」
「ミアルが選んだ使用人だから、忠誠心は高いだろう。
だが盾となると、それだけではだめだ。
だから、金と家族で縛る」
「なるほどね。――さすが兄さん」
兄さん。
その響きは、フェイリンにとって甘く苦い毒だった。嬉しいはずなのに、喉奥がひりつく。
(いや……それでいい。それが一番いいんだ)
茶を持ってきたミアルが気の毒な義兄へ視線を送ると、フェイリンはいぶかしんだ。
「……何だ?」
「――いえ。お茶をどうぞ」
フェイリンは茶を受け取り、飲み干した後、特訓へと戻っていった。
フェイリンの背を見ながら、シャオレイはふと思った。
(そういえば、最近兄さんは予言のことを訊かないわね。
やっぱり、あまりあてにならないと思ってるのかしら?
私が役に立たなくても、冷たくされないのは助かるけど……)