小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第3章 狂犬
第31話 メイレンの狂犬
第31話 メイレンの狂犬(1/3)
◆
シャオレイが使節団の宴で成功を収めた、翌月。
メイレンは華宵宮《かしょうきゅう》で、たすき掛けをして短剣を研いでいた。
砥石に刃を滑らす音が、静かに響く。
メイレンは、研ぎ終えた刃先を注意深く眺め、欠けがないことを確かめる。そして、布に染み込ませた香油を静かに塗り広げた。
それを見守っていたミンシーが、口を開いた。
「シュエン妃は、カナリア妃と交流があるようで……。
またおこぼれにあずかるつもりでしょうか」
おこぼれとは、先月のシュエン妃の夜伽だ。
「“小鳥”の策略かもしれんな」
「まさか……!」
「私の手の者を、いつの間にか追い出しておったし。
送り込めたのは、下女数人だけだ。
あやつに知恵と力がついた。
先月の使節団のもてなしを成功させおったからな。
表向きは教坊の総官の手柄ではあるが、誰もが知っておる。
――カナリア妃の力であると」
メイレンはふっと笑った。
そのとき、瑶吟宮《ようぎんきゅう》の下女が密告に来た。
「カナリア妃の周りは、常に侍女たちと上級宮女のみで固められるようになりました。
先日、カナリア妃の寝所に入ろうとしたら、喉元にかんざしを突き付けられました……。
――まるで武芸者のようでございました……」
メイレンがわずかに眉をひそめた。
ミンシーが手を払い、下女を下がらせた。
「カナリア妃はずいぶん警戒しておりますね……」
「あやつは今のところ政《まつりごと》には関わっておらぬが……やはり何かを企んでおる。
上級宮女か侍女を、落とす必要があるな」
◆
シャオレイが使節団の宴で成功を収めた、翌月。
メイレンは華宵宮《かしょうきゅう》で、たすき掛けをして短剣を研いでいた。
砥石に刃を滑らす音が、静かに響く。
メイレンは、研ぎ終えた刃先を注意深く眺め、欠けがないことを確かめる。そして、布に染み込ませた香油を静かに塗り広げた。
それを見守っていたミンシーが、口を開いた。
「シュエン妃は、カナリア妃と交流があるようで……。
またおこぼれにあずかるつもりでしょうか」
おこぼれとは、先月のシュエン妃の夜伽だ。
「“小鳥”の策略かもしれんな」
「まさか……!」
「私の手の者を、いつの間にか追い出しておったし。
送り込めたのは、下女数人だけだ。
あやつに知恵と力がついた。
先月の使節団のもてなしを成功させおったからな。
表向きは教坊の総官の手柄ではあるが、誰もが知っておる。
――カナリア妃の力であると」
メイレンはふっと笑った。
そのとき、瑶吟宮《ようぎんきゅう》の下女が密告に来た。
「カナリア妃の周りは、常に侍女たちと上級宮女のみで固められるようになりました。
先日、カナリア妃の寝所に入ろうとしたら、喉元にかんざしを突き付けられました……。
――まるで武芸者のようでございました……」
メイレンがわずかに眉をひそめた。
ミンシーが手を払い、下女を下がらせた。
「カナリア妃はずいぶん警戒しておりますね……」
「あやつは今のところ政《まつりごと》には関わっておらぬが……やはり何かを企んでおる。
上級宮女か侍女を、落とす必要があるな」