小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第31話 メイレンの狂犬(2/3)
「その役目――俺にお任せください」
その声と共に無遠慮な足音が響き、男が姿を現した。
鎧の上に、鮮やかな空色の衣をまとった長身の武官――メイレンの弟、ジュンだ。その動きには無駄がなく、どこか優雅と余裕さを感じさせた。
メイレンは彼を見るなり、深々とため息をついた。
「ああ、今日謹慎が解けたのだったな……ジュンは」
メイレンは短剣を帯から下げた鞘に収めた。
ミンシーがメイレンのたすき掛けを解き、短剣は袍《ほう※》の陰に隠れた。 [※長い上着]
メイレンはジュンに歩み寄り、ジュンの背を撫でてやった。
「杖刑《じょうけい※》の傷は癒えたか?」 [※太い棒で背や尻を打つ刑罰]
母親のような仕草に見えるが、そこにあるのは温かさではなく、厳然たる支配だった。
ジュンは鼻で笑った。
「こんなもの、痕すら残りませんよ」
そう言いながら、ジュンは気だるげに首を回した。処罰など、己の人生に何の影響も及ぼさなかったかのように。
だが、メイレンは鋭い視線をジュンに向けた。
(こやつは何一つ学んでおらぬ……)
確かに、ジュンは誰よりも武術が冴え、戦場では無敵だった。
だが、今はもう戦乱の時代ではない。必要とされるのは、冷静に戦局を見極め、政治的な駆け引きをも理解する指揮官だ。
それなのに、ジュンは戦場で好き勝手に暴れた。無駄に兵を消耗させ、挙げ句の果てに捕虜を勝手に処刑した。
この横暴を臣下たちが黙っているはずもなく、兵部《ひょうぶ※》の軍紀監察官のドンが上奏した。 [※軍事防衛をつかさどる部署]
結局ジュンは軍から追放され、降格・謹慎処分になった。
だが、メイレンはジュンを庇った。華宵宮を護衛する隊長――華宵宮衛帥《かしょうきゅうえいすい》の役職を作り、ジュンをなんとかねじ込んだ。
「その役目――俺にお任せください」
その声と共に無遠慮な足音が響き、男が姿を現した。
鎧の上に、鮮やかな空色の衣をまとった長身の武官――メイレンの弟、ジュンだ。その動きには無駄がなく、どこか優雅と余裕さを感じさせた。
メイレンは彼を見るなり、深々とため息をついた。
「ああ、今日謹慎が解けたのだったな……ジュンは」
メイレンは短剣を帯から下げた鞘に収めた。
ミンシーがメイレンのたすき掛けを解き、短剣は袍《ほう※》の陰に隠れた。 [※長い上着]
メイレンはジュンに歩み寄り、ジュンの背を撫でてやった。
「杖刑《じょうけい※》の傷は癒えたか?」 [※太い棒で背や尻を打つ刑罰]
母親のような仕草に見えるが、そこにあるのは温かさではなく、厳然たる支配だった。
ジュンは鼻で笑った。
「こんなもの、痕すら残りませんよ」
そう言いながら、ジュンは気だるげに首を回した。処罰など、己の人生に何の影響も及ぼさなかったかのように。
だが、メイレンは鋭い視線をジュンに向けた。
(こやつは何一つ学んでおらぬ……)
確かに、ジュンは誰よりも武術が冴え、戦場では無敵だった。
だが、今はもう戦乱の時代ではない。必要とされるのは、冷静に戦局を見極め、政治的な駆け引きをも理解する指揮官だ。
それなのに、ジュンは戦場で好き勝手に暴れた。無駄に兵を消耗させ、挙げ句の果てに捕虜を勝手に処刑した。
この横暴を臣下たちが黙っているはずもなく、兵部《ひょうぶ※》の軍紀監察官のドンが上奏した。 [※軍事防衛をつかさどる部署]
結局ジュンは軍から追放され、降格・謹慎処分になった。
だが、メイレンはジュンを庇った。華宵宮を護衛する隊長――華宵宮衛帥《かしょうきゅうえいすい》の役職を作り、ジュンをなんとかねじ込んだ。