小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第31話 メイレンの狂犬(3/3)
メイレンは、小さく息をついた。
その冷ややかな目にジュンはようやく気付き、横柄な態度を改めた。姉の前では、従順な弟であろうとする。
「――もっと早く謹慎が解けていれば、刺客など俺が斬り捨てていました。
七夕の宴の刺客は、まだ見つかっていないのでしょう?」
「その刺客に誘拐されていたのが、カナリア妃だ。
この者の上級宮女を懐柔できるか?」
「――謹んでお受けいたします、皇后殿下」
ジュンはうやうやしく一礼したが、愉快そうな目は隠さなかった。
ジュンの笑みは、”簡単な仕事”と語っていた。
なぜならジュンは、私邸に妾《めかけ》を何人も囲い、女中にまで手を出したこともある、女たらしだからだ。
メイレンはあきれつつも、念押しした。
「ジュン、むやみに殺してはならぬぞ。ここは戦場ではない」
「もちろんです」
ジュンは、口の端を吊り上げて答えた。
ジュンが去ったあと、ミンシーがそっと声をひそめた。
「――大丈夫でしょうか?」
メイレンはこめかみに手をやり、深いため息をついた。
「それを言うな……ジュンの毒の知識は使えるから、生かしてるだけだ」
ミンシーから差し出された杯を、メイレンは手に取った。中の酒が揺れ、ほのかに香る。
(ジュンは狂犬だ。いずれその牙が私にも向かうだろう。
だが、いつまでも野放しにしておくほど、私は甘くない)
メイレンは、小さく息をついた。
その冷ややかな目にジュンはようやく気付き、横柄な態度を改めた。姉の前では、従順な弟であろうとする。
「――もっと早く謹慎が解けていれば、刺客など俺が斬り捨てていました。
七夕の宴の刺客は、まだ見つかっていないのでしょう?」
「その刺客に誘拐されていたのが、カナリア妃だ。
この者の上級宮女を懐柔できるか?」
「――謹んでお受けいたします、皇后殿下」
ジュンはうやうやしく一礼したが、愉快そうな目は隠さなかった。
ジュンの笑みは、”簡単な仕事”と語っていた。
なぜならジュンは、私邸に妾《めかけ》を何人も囲い、女中にまで手を出したこともある、女たらしだからだ。
メイレンはあきれつつも、念押しした。
「ジュン、むやみに殺してはならぬぞ。ここは戦場ではない」
「もちろんです」
ジュンは、口の端を吊り上げて答えた。
ジュンが去ったあと、ミンシーがそっと声をひそめた。
「――大丈夫でしょうか?」
メイレンはこめかみに手をやり、深いため息をついた。
「それを言うな……ジュンの毒の知識は使えるから、生かしてるだけだ」
ミンシーから差し出された杯を、メイレンは手に取った。中の酒が揺れ、ほのかに香る。
(ジュンは狂犬だ。いずれその牙が私にも向かうだろう。
だが、いつまでも野放しにしておくほど、私は甘くない)