小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第32話 観察対象との初接触
第32話 観察対象との初接触(1/5)
皇太后の誕生祭が、彼女の住まいの恵慈宮《けいじきゅう》の正殿で開かれた。
シャオレイの伸びやかな歌声が、広間に響いていた。
シャオレイ自ら作りあげた歌は飾り立てた音ではないが、言葉のひとつひとつが観客の心に染み渡る。
やがて、皇太后が目を見張った。
広がる低音と、風のように揺れる余韻――皇太后の出身地である北方の調べを思わせる旋律が、シャオレイの琴の音で再現されていた。
それは、皇太后の遠い記憶を呼び覚ます調べだった。皇太后は、そっと涙を手巾で拭った。
皇太后はゼフォンの生母《せいぼ》ではあったが、先帝の側室だった。ゼフォンが即位する前は位も低く、寵愛争いに巻き込まれることもあり、何かと気苦労も多かった。
ゼフォンは皇太后の表情を見て、心が温かくなった。
(予の大切な者を、カナリアも大切にしてくれる……)
シャオレイの歌が権力を求めるためではないことが、ゼフォンには嬉しかった。
演奏が終わったシャオレイを、ゼフォンは呼び寄せた。シャオレイの手を取り、隣へと座らせた。
(予には、カナリアさえいればよい)
シュエン妃はもう、シャオレイに嫉妬の目を向けなかった。
(今までメイレンに従ってきたけど、彼女は私の欲しいものをくれなかった。
でもカナリア妃は、陛下との橋渡しをしてくれたわ。
だから、無礼なことはできない)
シュエン妃の取り巻きたちは、複雑そうな顔をして、シャオレイを見ないふりをしていた。
メイレンはいつものように、優雅なほほ笑みを浮かべていたが、内心ではジュンのことが気がかりだった。
(ジュンのやつ……任務を忘れて、宮女をもてあそびそうだな)
皇太后の誕生祭が、彼女の住まいの恵慈宮《けいじきゅう》の正殿で開かれた。
シャオレイの伸びやかな歌声が、広間に響いていた。
シャオレイ自ら作りあげた歌は飾り立てた音ではないが、言葉のひとつひとつが観客の心に染み渡る。
やがて、皇太后が目を見張った。
広がる低音と、風のように揺れる余韻――皇太后の出身地である北方の調べを思わせる旋律が、シャオレイの琴の音で再現されていた。
それは、皇太后の遠い記憶を呼び覚ます調べだった。皇太后は、そっと涙を手巾で拭った。
皇太后はゼフォンの生母《せいぼ》ではあったが、先帝の側室だった。ゼフォンが即位する前は位も低く、寵愛争いに巻き込まれることもあり、何かと気苦労も多かった。
ゼフォンは皇太后の表情を見て、心が温かくなった。
(予の大切な者を、カナリアも大切にしてくれる……)
シャオレイの歌が権力を求めるためではないことが、ゼフォンには嬉しかった。
演奏が終わったシャオレイを、ゼフォンは呼び寄せた。シャオレイの手を取り、隣へと座らせた。
(予には、カナリアさえいればよい)
シュエン妃はもう、シャオレイに嫉妬の目を向けなかった。
(今までメイレンに従ってきたけど、彼女は私の欲しいものをくれなかった。
でもカナリア妃は、陛下との橋渡しをしてくれたわ。
だから、無礼なことはできない)
シュエン妃の取り巻きたちは、複雑そうな顔をして、シャオレイを見ないふりをしていた。
メイレンはいつものように、優雅なほほ笑みを浮かべていたが、内心ではジュンのことが気がかりだった。
(ジュンのやつ……任務を忘れて、宮女をもてあそびそうだな)