小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第32話 観察対象との初接触(3/5)
ミアルは芝居を始めた。そっと目をそらして、「お離しになってください……」と小さく言った。
「お前……妃の侍女で終わるつもりか?俺の女になれば、いい思いができるぞ……?」
ジュンはそういいながら、ミアルを愛撫した。指先でミアルの頬からあごをゆっくりとなぞり、彼女の腰を撫で回し、唇で髪に触れた。
ミアルはそれを堪能していた。
(まあ、こんなふうに女を口説くのね……)
だが、ミアルはジュンへ上目遣いでほほ笑んで言った。
「ご冗談も、ほどほどにお願いしますわ……」
そして、ミアルはジュンからするりと逃げていく。
ジュンは一瞬あっけにとられたが、ミアルから誘われているのだと気づいた。逃げる愛玩動物を追いかけるかのように、「待て」と声をかけた。
不意に、ミアルはくるりと振り返った。
「そういえば、お尻の怪我は治りましたの?」
「……なんの話だ?」
一瞬で、ジュンの顔から余裕が消えていた。
ミアルはくすくすと笑い、裾をゆらゆらと揺らしながら早歩きで去っていった。
ジュンは立ちすくんだまま、低くつぶやいた。
「なぜ、あいつが知ってる……?」
ジュンは謹慎処分の際に受けた杖刑で、尻の皮膚が裂ける打撲を負ったのだ。大したことではないと思い込もうとしていたが、本当は大きな屈辱を感じていた。
そのことを、指摘されるとは思っていなかった。――よりにもよって侍女に。
(誰に吹き込まれた?
いや……見ていたのか……?)
だが、ジュンにはイラ立ちだけでなく、ミアルへの興味が混じっていた。
ミアルは芝居を始めた。そっと目をそらして、「お離しになってください……」と小さく言った。
「お前……妃の侍女で終わるつもりか?俺の女になれば、いい思いができるぞ……?」
ジュンはそういいながら、ミアルを愛撫した。指先でミアルの頬からあごをゆっくりとなぞり、彼女の腰を撫で回し、唇で髪に触れた。
ミアルはそれを堪能していた。
(まあ、こんなふうに女を口説くのね……)
だが、ミアルはジュンへ上目遣いでほほ笑んで言った。
「ご冗談も、ほどほどにお願いしますわ……」
そして、ミアルはジュンからするりと逃げていく。
ジュンは一瞬あっけにとられたが、ミアルから誘われているのだと気づいた。逃げる愛玩動物を追いかけるかのように、「待て」と声をかけた。
不意に、ミアルはくるりと振り返った。
「そういえば、お尻の怪我は治りましたの?」
「……なんの話だ?」
一瞬で、ジュンの顔から余裕が消えていた。
ミアルはくすくすと笑い、裾をゆらゆらと揺らしながら早歩きで去っていった。
ジュンは立ちすくんだまま、低くつぶやいた。
「なぜ、あいつが知ってる……?」
ジュンは謹慎処分の際に受けた杖刑で、尻の皮膚が裂ける打撲を負ったのだ。大したことではないと思い込もうとしていたが、本当は大きな屈辱を感じていた。
そのことを、指摘されるとは思っていなかった。――よりにもよって侍女に。
(誰に吹き込まれた?
いや……見ていたのか……?)
だが、ジュンにはイラ立ちだけでなく、ミアルへの興味が混じっていた。