小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第32話 観察対象との初接触(4/5)




 誕生祭の宴のあと、ミアルは瑶吟宮《ようぎんきゅう》で、シャオレイにジュンのことを報告していた。
「尻のことを指摘したときの、あの方の動揺といったら……」
 ミアルが笑いをこらえながら言うと、シャオレイは満足げにうなずいた。

「やっぱり効いたでしょう?」

「でも……さすがのラン公子も怒っておりましたよ」

「――本当に怒っていた”だけ”だったら、今頃ミアルは無事じゃなかったでしょうね……」

 ふふ、と笑うシャオレイに、ミアルもほほ笑んだ。

 シャオレイの頭には、前世の記憶が浮かんでいた。
 ジュンは、自らが幼帝の摂政になることを企んで、ゼフォンを暗殺した。
 だが、その希望は叶えられなかったのに、おとなしく引き下がったのだ。――姉であるメイレンになだめられて。

 シャオレイは言った。
「皇后に仕込まれて育った男よ。
だから、女でも彼を飼い慣らせるはず。
でも……ただの女じゃだめね。
彼の感情を揺さぶる女でなければ。
正攻法では、ジュンを倒すことなど不可能よ。
彼には軍の指揮官の素質は無かったけど、戦闘力と毒の遣い手としての能力は侮れないわ。
――フェイリンですら、勝てないかもしれないもの……」

「ご安心を。必ずやご期待に応えてみせます」
 ミアルは頼もしく言い切った。

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