小鳥の爪―寵姫は二番目の恋に落ちる―
第2話 運命の出会い(5/5)
◆
その後、シャオレイは寝台でうとうとしていた。
(ゼフォン……今夜だけは、あなたの胸の中で眠りたかったわ。
でも“暴れ猫”を捕まえなくちゃいけなかったから……)
シャオレイは、そっと額の小鳥を撫でた。
(二度もこの小鳥に助けられたわね……。
きっとあの方は、仙人様だったんだわ)
シャオレイは昔のことを思い出しながら、眠りに落ちていった。
◆
シャオレイがその老人に会ったのは、10年前のことだった。
12歳のシャオレイは、青楼の小間使いだった。
シャオレイが店の遣いを終え、路地裏に入ると、通行人に蹴られている老人が目に入った。うずくまる老人に駆け寄ると、食べ物を求められた。
彼はぼさぼさの白髪《しらが》に長くて白いあごひげで、服は薄汚れて擦り切れていた。
シャオレイは気の毒に思い、懐《ふところ》を探って小さな焼餅を渡した。
老人は目を細め、ゆっくりと口に運ぶ。
シャオレイは水を入れた茶碗を、店から持って来た。しゃがんで仙人に水を差し出し、彼のあごひげを珍しそうに見つめる。
老人は水を飲み干すと満足そうにうなり、言った。
「1曲歌ってくださらんか?」
シャオレイが歌い出すと、路地裏に澄んだ声が響いた。
老人は目を閉じ、しばらく耳を傾けていた。
シャオレイが歌い終えると、老人は立ち上がった。彼女の額へ人差し指を置き、そっと肌をなぞった。
老人は指を離して「そなたの願いを叶えてくれるまじないだ」と、告げた。
シャオレイの額には、小鳥の紋様が描かれていた。
やがて、老人は杖をつきながらゆっくりと去っていった。
にぎやかな人混みに消えていくその姿を、シャオレイは不思議そうに見送っていた。
(”まじない”――ほんとかしら?)
◆
その後、シャオレイは寝台でうとうとしていた。
(ゼフォン……今夜だけは、あなたの胸の中で眠りたかったわ。
でも“暴れ猫”を捕まえなくちゃいけなかったから……)
シャオレイは、そっと額の小鳥を撫でた。
(二度もこの小鳥に助けられたわね……。
きっとあの方は、仙人様だったんだわ)
シャオレイは昔のことを思い出しながら、眠りに落ちていった。
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シャオレイがその老人に会ったのは、10年前のことだった。
12歳のシャオレイは、青楼の小間使いだった。
シャオレイが店の遣いを終え、路地裏に入ると、通行人に蹴られている老人が目に入った。うずくまる老人に駆け寄ると、食べ物を求められた。
彼はぼさぼさの白髪《しらが》に長くて白いあごひげで、服は薄汚れて擦り切れていた。
シャオレイは気の毒に思い、懐《ふところ》を探って小さな焼餅を渡した。
老人は目を細め、ゆっくりと口に運ぶ。
シャオレイは水を入れた茶碗を、店から持って来た。しゃがんで仙人に水を差し出し、彼のあごひげを珍しそうに見つめる。
老人は水を飲み干すと満足そうにうなり、言った。
「1曲歌ってくださらんか?」
シャオレイが歌い出すと、路地裏に澄んだ声が響いた。
老人は目を閉じ、しばらく耳を傾けていた。
シャオレイが歌い終えると、老人は立ち上がった。彼女の額へ人差し指を置き、そっと肌をなぞった。
老人は指を離して「そなたの願いを叶えてくれるまじないだ」と、告げた。
シャオレイの額には、小鳥の紋様が描かれていた。
やがて、老人は杖をつきながらゆっくりと去っていった。
にぎやかな人混みに消えていくその姿を、シャオレイは不思議そうに見送っていた。
(”まじない”――ほんとかしら?)