小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第33話 見射る瞳(6/7)
「ジュン様の指揮する府兵《ふへい※》は、農民です。
彼らは農具を刀に持ち替え、農閑期の数ヶ月に訓練をしただけの、脆弱な兵。
だから、ジュン様は指揮官でありながら前線へ出て、常に短期決戦をした。
長引けば負けると分かっていたから。
それから、昨年ジュン様が捕虜を処刑して晒したのは、警告。
――”また襲ってきたらこうなるぞ”という。
戦が起きたのは、ちょうど収穫期でした。
再び同じ事態が起きたら、餓死者が出ますから」 [※政府の兵]
ジュンは、目を見開いていた。
「なぜそこまで知っている」
ミアルは苦笑いをした。
「……実は、今のは推測なんです」
「推測だと?」
「ジュン様のことは、邸報《ていほう※》でよく報じられておりました。
あなたは、意味のないことはされない。
だから……きっと何か理由があると思いました」 [※官報。政府が国民に知らせる事項を載せて、毎日刊行する文書]
それからミアルは、不満げに言った。
「陛下は、見る目がありませんわ。
ジュン様は無敗の英雄なのに、戦場から追い出すなんて……。
でも、ジュン様がご無事で戻られたとき、久しぶりに筆が止まりませんでした。
また記録が続けられるのが……少しうれしくて」
ジュンの胸の奥を、甘いしびれが走っていた。
ずっとふれられたかった部分を、ミアルにこすられているようだった。――何度も、優しく。
そこは、ジュンの“傷”でもあり、“渇き”でもあった。
(この女だけは、俺のことを正しく見ていたのだ……)
「不敬罪になるぞ」
ジュンは吐き捨てるように言ったが、快感がにじんでいた。
「ジュン様の指揮する府兵《ふへい※》は、農民です。
彼らは農具を刀に持ち替え、農閑期の数ヶ月に訓練をしただけの、脆弱な兵。
だから、ジュン様は指揮官でありながら前線へ出て、常に短期決戦をした。
長引けば負けると分かっていたから。
それから、昨年ジュン様が捕虜を処刑して晒したのは、警告。
――”また襲ってきたらこうなるぞ”という。
戦が起きたのは、ちょうど収穫期でした。
再び同じ事態が起きたら、餓死者が出ますから」 [※政府の兵]
ジュンは、目を見開いていた。
「なぜそこまで知っている」
ミアルは苦笑いをした。
「……実は、今のは推測なんです」
「推測だと?」
「ジュン様のことは、邸報《ていほう※》でよく報じられておりました。
あなたは、意味のないことはされない。
だから……きっと何か理由があると思いました」 [※官報。政府が国民に知らせる事項を載せて、毎日刊行する文書]
それからミアルは、不満げに言った。
「陛下は、見る目がありませんわ。
ジュン様は無敗の英雄なのに、戦場から追い出すなんて……。
でも、ジュン様がご無事で戻られたとき、久しぶりに筆が止まりませんでした。
また記録が続けられるのが……少しうれしくて」
ジュンの胸の奥を、甘いしびれが走っていた。
ずっとふれられたかった部分を、ミアルにこすられているようだった。――何度も、優しく。
そこは、ジュンの“傷”でもあり、“渇き”でもあった。
(この女だけは、俺のことを正しく見ていたのだ……)
「不敬罪になるぞ」
ジュンは吐き捨てるように言ったが、快感がにじんでいた。