小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第33話 見射る瞳(7/7)


 ミアルはジュンの胸にもたれ、ため息をついた。
「ああ……私、男に生まれたかった。
そしたら戦場についていって、ジュン様を見ていられたのに……」

 とっさに「いや、女でいい」という言葉が、ジュンの口をついた。
「お前が女じゃなければ、こんなふうに――」
 ジュンはミアルに唇を寄せかけて、一瞬ためらった。
(これはいつもの遊びじゃない、何かが確実に変わる……)

 だが、ジュンの唇をミアルが奪った。いたずらっぽく笑うミアルに、ジュンは見透かされた気がした。
「お前……」
 そう言って、ジュンはミアルをぐいと引き寄せ、負けじと深く唇をふさいだ。

 ジュンの舌で口の中を撫でられ、ミアルの背すじを震えが走る。

 ミアルが思わず身を引くと、ジュンの唇が追いかけてきた。
 その動きは、まるで退く敵兵を逃さぬ将のようだった。だが不思議と、そこに力ずくの圧はない。
 ジュンはミアルを解放したかと思えば、再び攻めた。

 ふたりの吐息が混ざり合うたびに、ミアルの肌の奥が熱に震える。

 溶けそうな口づけの中で、ミアルの意識がぼやけていく。だが、頭の片隅は冷静だった。
(この舌技《ぜつぎ》……女たらしの異名は、伊達《だて》じゃないわね。
あとで記録しておかなくちゃ……。
――それにしてもすごい。
全部カナリア妃様の読み通りになったわ。
今のところ、恐ろしいくらい順調……)

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