小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第35話 掟の庭
第35話 掟の庭(1/6)
◆
シャオレイの演奏会のことは、ゼフォンの耳にも届いていた。
まだ暑さの残る9月に、御花園《ぎょかえん》でシャオレイに会ったとき、彼女自らその話題を口にしたのだ。
「夫人方に喜んでもらえる機会は無かったから、嬉しいの。
――青楼では、私たちは目の敵《かたき》にされてたから……」
青楼の客には、妻帯者もいた。そんな男たちを迎える妓女は、妻たちの敵だ。
シャオレイがいたのは高級青楼だったが、それでも怒鳴り込んでくる妻もいた。
「そなたに夢中になれることがあるのは、何よりだ」
ゼフォンは言った。
後宮の均衡を保つため、シャオレイだけに構うわけにはいかなかった。夜伽も控えていたから、せめてシャオレイの心の慰めになればと、思っていた。
だが、11月に入る頃には、ヤン夫人が同行しない瑶吟宮《ようぎんきゅう》の出入りが増えていた。
その変化に、ゼフォンは違和感を覚え始めた。シャオレイの演奏会について、密かに調べるよう、チャオ内侍に命じた。
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シャオレイの演奏会のことは、ゼフォンの耳にも届いていた。
まだ暑さの残る9月に、御花園《ぎょかえん》でシャオレイに会ったとき、彼女自らその話題を口にしたのだ。
「夫人方に喜んでもらえる機会は無かったから、嬉しいの。
――青楼では、私たちは目の敵《かたき》にされてたから……」
青楼の客には、妻帯者もいた。そんな男たちを迎える妓女は、妻たちの敵だ。
シャオレイがいたのは高級青楼だったが、それでも怒鳴り込んでくる妻もいた。
「そなたに夢中になれることがあるのは、何よりだ」
ゼフォンは言った。
後宮の均衡を保つため、シャオレイだけに構うわけにはいかなかった。夜伽も控えていたから、せめてシャオレイの心の慰めになればと、思っていた。
だが、11月に入る頃には、ヤン夫人が同行しない瑶吟宮《ようぎんきゅう》の出入りが増えていた。
その変化に、ゼフォンは違和感を覚え始めた。シャオレイの演奏会について、密かに調べるよう、チャオ内侍に命じた。