小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第35話 掟の庭(3/6)




 瑶吟宮では、明日の冊封の儀に使う、衣装や装飾品をシャオレイが確かめていた。

 ミアルが感心した。
「さすが尚服局《しょうふくきょく※》。
生地も刺繍もすべて格別ですね」 [衣服・宝物・装飾・儀式道具を管理する部署]

 そのとき、ゼフォンが姿を現した。

 それを見たシャオレイの顔が、ぱっと輝く。
「陛下!」

「時間が出来たから、見に来た。
明日の儀式の礼法は頭に入っておるか?」

「しかと刻み込みましたゆえ」

「ならばよい」

「衣装の鳥の刺繍……あれがカナリアなのね」

「ああ……予が尚服局へ命じた」

「小鳥だけど優美だわ……あなたの心を感じる」

 ゼフォンは薄く笑みを浮かべたまま、さりげなく部屋を見回した。
(多量の贈与品を受け取っている割には、簡素だな。
……蔵にしまっているだけか?)

 ゼフォンは、シャオレイと長椅子へ並んで座った。ひと口茶を含んでから、静かに言葉を投げかける。
「そういえば……瑶吟宮の使用人は働きがよいな。
カナリアの使い方がうまいのか、それとも……何か秘訣でもあるのか?」

 シャオレイは、ゼフォンの横顔がわずかに硬いことに気づいた。
「優秀な人材には、相応の報酬を――それだけです」

 シャオレイはほほ笑みを浮かべつつも、冷や汗をにじませていた。
(もしかして、金策のことを勘づかれたのかしら……?
でも、掟には触れていないはず)

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