小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第37話 ねたみの軍旗

第37話 ねたみの軍旗(1/5)




 ミアルはジュンと、夜の華宵宮《かしょうきゅう》の離れで密会していた。

 ジュンが、ミアルの髪に対のかんざしを挿している。
 それは、白い玉《ぎょく》が輝き、歩揺《ほよう※》がシャラシャラと小さな音を立てていた。 [※かんざしに下げられた細い鎖飾り]

「よろしいんですか……?
こんな高価な物をたくさんいただいてしまって」
 ミアルは、卓上に置かれた華やかな女物の衣や装飾品、靴を見て言った。

「俺の女だから当然だ」

「お休みの日に身に着けますね」
 ミアルはほほ笑んで、ジュンの胸にもたれた。

 ジュンはミアルの肩を抱いた。
(ミアルはすでに年季が明けているから、いつでも宮中から出られる。
しかし、この女を妾《めかけ》として囲うには金が足りん。
いっそ妾を整理するか?
いや……そんなみっともないことはできん。
――それに、この女は陛下の幼なじみ。
陛下は我が一族を警戒しているから、首を縦には振らないだろう)

 そんなジュンの心情に、ミアルは気づいていなかった。きらびやかな歩揺を、細い指先でいじる。
(これも、女を口説くときの常套手段。
すぐに私のことなんか、見向きもしなくなるわ。
私は、履いて捨てるほどいる女のひとりだもの。
――ジュン様に飽きられる前に、彼を失脚させなくちゃ……)

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