小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第37話 ねたみの軍旗(3/5)


 ミアルはふと、ジュンの飲む量がいつもと違うと気づいた。
「今日は控えめなのですね」
「……明日は、出征式の警護があるからな」
 ジュンは目を伏せ、わずかに不機嫌そうに言った。

 その様子で、ミアルは瞬時に察した。
(リャン将軍への嫉妬ね。彼も今回、出征するから)

 リャン将軍とは、かつてジュンが模擬戦で叩きのめした男だ。リャン将軍は今や、若き将軍として注目を集めていた。

 ミアルは話題を戻した。
「――あの駐屯地って……よく奇病が流行るらしいですね」

 ミアルの髪を撫でていたジュンの手が、わずかに止まる。
「……誰がそんな話を?」

「どこかで聞いただけです。真偽は知りませんが……」
 ミアルは、杯を口にした。だが、ジュンの視線がわずかに鋭くなったのを、感じとっていた。

 ジュンは静かに思った。
(あの模擬戦を克明に記憶していた女が、“誰から聞いたかも覚えてない”なんてことがあるか?
――この女……俺が治療したことを、知ってるな。
まあいい。この女なら俺が制御できる……)

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