小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第37話 ねたみの軍旗(4/5)
◆
翌日、正門の外の広場で、出征式が行なわれていた。そこでは、見物する民衆のざわめきが広がっている。
今回の戦は小規模な地方反乱だったが、交易路《こうえきろ※》沿いで発生していた。勝てば、英雄扱いは必至だった。 [※物々交換や売買のための経路]
ジュンはメイレンの護衛として、式典の隅に控えていた。彼の頭の中は、七夕の宴に現れた刺客のことでいっぱいだった。
(刺客め……来るなら来い。
退屈しのぎに遊んでやる)
「軍旗を授けよ」
命《めい》を出すメイレンの声へ、ジュンの意識が飛んだ。
文官が、馬上のリャン将軍へ軍旗を渡す。誇らしく旗を掲げているリャン将軍は、ジュンにはまったく気づいていなかった。
歓声が湧いた瞬間、ジュンの喉奥が熱くなる。
(――俺が、あれを受け取るはずだった)
歯ぎしりをしているジュンへ、群衆の中から異様な視線が届いた。
その方向にジュンが視線を送ると――ミアルがいた。
ミアルは、地味な外套に身を包んでいる。
ミアルの瞳に射抜かれたジュンは、とっさに目を逸らした。
(なぜあの女がいる……?
いつから見てた!?
なぜ俺は気づかなかった……?)
ジュンの喉が渇き、呼吸が乱れ、頬がほてる。――太陽のせいではなかった。
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翌日、正門の外の広場で、出征式が行なわれていた。そこでは、見物する民衆のざわめきが広がっている。
今回の戦は小規模な地方反乱だったが、交易路《こうえきろ※》沿いで発生していた。勝てば、英雄扱いは必至だった。 [※物々交換や売買のための経路]
ジュンはメイレンの護衛として、式典の隅に控えていた。彼の頭の中は、七夕の宴に現れた刺客のことでいっぱいだった。
(刺客め……来るなら来い。
退屈しのぎに遊んでやる)
「軍旗を授けよ」
命《めい》を出すメイレンの声へ、ジュンの意識が飛んだ。
文官が、馬上のリャン将軍へ軍旗を渡す。誇らしく旗を掲げているリャン将軍は、ジュンにはまったく気づいていなかった。
歓声が湧いた瞬間、ジュンの喉奥が熱くなる。
(――俺が、あれを受け取るはずだった)
歯ぎしりをしているジュンへ、群衆の中から異様な視線が届いた。
その方向にジュンが視線を送ると――ミアルがいた。
ミアルは、地味な外套に身を包んでいる。
ミアルの瞳に射抜かれたジュンは、とっさに目を逸らした。
(なぜあの女がいる……?
いつから見てた!?
なぜ俺は気づかなかった……?)
ジュンの喉が渇き、呼吸が乱れ、頬がほてる。――太陽のせいではなかった。