小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第38話 帳《とばり》の中の熱

第38話 帳《とばり》の中の熱(1/3)


 ◆

 城下町は夜に包まれていた。

 ジュンはミアルの肩を抱きながら、茶屋の奥の部屋に入った。

 茶屋の使用人が、扉を静かに閉めた瞬間、ミアルの心臓が跳ねた。
(心の準備はしていたけど、いざとなったら緊張するわね……)

 ふたりは無言のまま、寝台へ向かう。

 その途中、ジュンがミアルを撫でた。ミアルの肩から、背中、そして腰へとジュンの指が滑ると、彼女の肌は粟立った。
(すごいわ……指先だけでこうなるの?
私、ちゃんと観察しきれるかしら)

 ジュンは寝台の端へ腰をかけると、ミアルを見ながら自分の前を指した。
 ミアルが腰を下ろすと、ジュンが後ろからぴたりとミアルを包む。――まるで、小さな獣を抱え込むように。
 ミアルが少しだけ身じろぐと、ジュンは彼女の耳元に唇を寄せた。
「痛くしないから、安心しろ……」

「は……はい」
 ミアルが背中をジュンへ預けると、彼の広い胸板と静かな息づかいが伝わってきた。

 帳《とばり》の中で、ふたりの影は重なり、ゆるやかにひとつの形になっていった。

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