小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第40話 屈辱の仕返し(5/5)
◆
ジュンがドン監察官を診察した、その日の夜。
華宵宮の離れの一室で、いつものようにミアルとジュンが密会していた。ふたりは、長椅子でぴたりと寄り添っている。
ミアルは、いたずらめいた声音で言った。
「ジュン様、ご機嫌ですね。ドン監察官の私邸はさぞや、楽しかったでしょう?」
「おいおい、俺は”診察”で行ったんだぞ?」
ジュンはわざとらしく弁明した。
「あなたほどのお方なら、診察記録を見るだけですぐに理解されたはず。
――恐怖におののくドン監察官のお顔が、目に浮かぶよう」
ミアルは、ジュンの肩にそっともたれた。そして、ジュンの首すじに鼻先を寄せ、深く匂いを吸い込む。
(皇后殿下や配下は、“狂犬ジュン”しか知らない。
彼の妾《めかけ》たちは、“愛人ジュン”しか知らない。
どちらの顔も知っているのは――私だけ)
ミアルは恋に浸っていた。ジュンを処刑台に送るまでは、この関係を満喫しようと思っていた。
しばらくして、ジュンはゆっくりと息をついて言った。
「――俺は、ドン監察官の命を救った。
陛下も俺を無視はできまい。じきに恩賞があるはずだ……」
(そうしたら、ミアルを娶る。
そして将官への復位をして、戦場に戻ってやる)
ミアルはその言葉を聞きながら、心の中で呟いた。
(ジュン様、”そうじゃなきゃ困る”と自分に言い聞かせてるのね。
でも、それにはまだ早いわ……)
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ジュンがドン監察官を診察した、その日の夜。
華宵宮の離れの一室で、いつものようにミアルとジュンが密会していた。ふたりは、長椅子でぴたりと寄り添っている。
ミアルは、いたずらめいた声音で言った。
「ジュン様、ご機嫌ですね。ドン監察官の私邸はさぞや、楽しかったでしょう?」
「おいおい、俺は”診察”で行ったんだぞ?」
ジュンはわざとらしく弁明した。
「あなたほどのお方なら、診察記録を見るだけですぐに理解されたはず。
――恐怖におののくドン監察官のお顔が、目に浮かぶよう」
ミアルは、ジュンの肩にそっともたれた。そして、ジュンの首すじに鼻先を寄せ、深く匂いを吸い込む。
(皇后殿下や配下は、“狂犬ジュン”しか知らない。
彼の妾《めかけ》たちは、“愛人ジュン”しか知らない。
どちらの顔も知っているのは――私だけ)
ミアルは恋に浸っていた。ジュンを処刑台に送るまでは、この関係を満喫しようと思っていた。
しばらくして、ジュンはゆっくりと息をついて言った。
「――俺は、ドン監察官の命を救った。
陛下も俺を無視はできまい。じきに恩賞があるはずだ……」
(そうしたら、ミアルを娶る。
そして将官への復位をして、戦場に戻ってやる)
ミアルはその言葉を聞きながら、心の中で呟いた。
(ジュン様、”そうじゃなきゃ困る”と自分に言い聞かせてるのね。
でも、それにはまだ早いわ……)