小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第41話 床《とこ》の中の乾き
第41話 床の中の乾き(1/5)
◆
瑶吟宮《ようぎんきゅう》の回廊の柵に、シャオレイは腰掛けていた。昼過ぎでも、11月も終わりかけの風は冷たい。
「ドン監察官は、快方へ向かったわね」
ミアルがシャオレイへ、外套《がいとう》をそっとかけて言った。
「はい、ジュン様――……いえ、ラン公子《こうし》のおかげです」
シャオレイは、ミアルが彼を親し気に呼んだことに、どこか引っかかるものを感じた。
(情が移ったのかしら――?まさかね)
「ラン・ジュンの名誉回復ができれば、さらなる野心を呼び覚ませるわ。
皇后との離反も狙えるし」
「ええ」
「……兄さんは、今頃どうしているかしら」
「さきほど、文《ふみ》が来ていたのでは?」
「業務連絡だけよ。
――”順調なり”ですって」
シャオレイは、フェイリンからの素っ気ない文《ふみ》をミアルに見せた。
ミアルは残念なフェイリンへ、心の中でため息をついた。
(離れているときこそ、甘い言葉が有効ですのに……。
フェイリン殿にはないのですよね)
フェイリンがリーハイの私兵団へ潜入してから、2ヶ月が経っていた。
シャオレイが毎晩寝るのは、フェイリンの作った隠し部屋。そして、毎日髪に挿しているのは、フェイリンの贈った仕込みかんざし。だからシャオレイに、不安はなかった。
それでもシャオレイは、なんとなくもの寂しかった。遠くを眺めたまま、フェイリンの書いてくれた歌を口ずさみ始めた。
「……遠き故郷《ふるさと》 風は止み……
……標《しるべ》なき 雲の下……
……夢にさえ 道はなく……」
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瑶吟宮《ようぎんきゅう》の回廊の柵に、シャオレイは腰掛けていた。昼過ぎでも、11月も終わりかけの風は冷たい。
「ドン監察官は、快方へ向かったわね」
ミアルがシャオレイへ、外套《がいとう》をそっとかけて言った。
「はい、ジュン様――……いえ、ラン公子《こうし》のおかげです」
シャオレイは、ミアルが彼を親し気に呼んだことに、どこか引っかかるものを感じた。
(情が移ったのかしら――?まさかね)
「ラン・ジュンの名誉回復ができれば、さらなる野心を呼び覚ませるわ。
皇后との離反も狙えるし」
「ええ」
「……兄さんは、今頃どうしているかしら」
「さきほど、文《ふみ》が来ていたのでは?」
「業務連絡だけよ。
――”順調なり”ですって」
シャオレイは、フェイリンからの素っ気ない文《ふみ》をミアルに見せた。
ミアルは残念なフェイリンへ、心の中でため息をついた。
(離れているときこそ、甘い言葉が有効ですのに……。
フェイリン殿にはないのですよね)
フェイリンがリーハイの私兵団へ潜入してから、2ヶ月が経っていた。
シャオレイが毎晩寝るのは、フェイリンの作った隠し部屋。そして、毎日髪に挿しているのは、フェイリンの贈った仕込みかんざし。だからシャオレイに、不安はなかった。
それでもシャオレイは、なんとなくもの寂しかった。遠くを眺めたまま、フェイリンの書いてくれた歌を口ずさみ始めた。
「……遠き故郷《ふるさと》 風は止み……
……標《しるべ》なき 雲の下……
……夢にさえ 道はなく……」