小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第41話 床の中の乾き(2/5)




 シャオレイは、ゼフォンから変わらず夜伽に召されていた。

 瑶吟宮を訪れたゼフォンは、シャオレイの衣を解き、身を重ねる――だが、その仕草はどこか形式的めいていた。

 シャオレイはその空気を敏感に察して、以前にも増してゼフォンへ尽くし、ねぎらい、癒し、無邪気に笑い、甘え続けた。そして歌い、舞い、ゼフォンを全力で癒した。
(私はゼフォンに愛されているわ。
だって抱かれているもの。
ドン監察官の病のこともあったし、きっと今はお疲れなだけ――)
 そう自分に言い聞かせて、妃としての務めを懸命に果たしていた。

 だが、そんなシャオレイのいじらしさが、余計にゼフォンの胸をえぐっていた。
(カナリアは予を愛しているがゆえに、あのように振る舞っているのだ。
だがもし、演技だったとしたら?
策略のためだとしたら……)
 その想像が、ゼフォンの胸に冷たい針を刺す。
 ゼフォンはその疑念を、何度も追い払おうとした。だがそれは、シャオレイと会うたびに湧き上がってきた。

 ある日紫微殿《しびでん》の執務室で、ゼフォンは茶を口に含みながら、ぼんやりと思考を巡らせた。

 シャオレイの寝所にいる宦官や宮女たち――彼らの日常の給仕や掃除にいたるまで、立ち振る舞いには過不足がなく、隙もない。

(カナリアは、使用人へ報酬を与えていた……。
”優秀な人材には、相応の報酬を”――そう言っていた。
”優秀な人材”か……)
 ゼフォンは、静かに控えていたチャオ内侍へ言った。
「瑶吟宮の使用人たちを、密かに調べよ。
全員だ。
出自、経歴、身寄り、過去の主まで……抜けなく洗え」

「御意」

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