小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第41話 床の中の乾き(4/5)
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いつからかゼフォンは、シャオレイとの夜伽の前に、紫微殿で汁物を飲むのが常となった。
湯気の立った椀を、チャオ内侍が盆に乗せてそっと差し出す。それは、精力を高めるための煎じ薬だった。皇帝が日常的に口にするものではない。
ゼフォンは、椀を一気に飲み干した。苦い薬湯が、彼の喉を落ちていく。
皇帝である自分が、薬に頼らなければ妃を抱けない。――その事実がゼフォンへ無力感を抱かせ、彼の誇りをひそやかに、確実に削っていった。
それでもゼフォンは、自分で選んだ女であるシャオレイへ、寵を与えたかった。それが、ゼフォンの最後の矜持だった。
だが、シャオレイと肌を重ねてもゼフォンの心は遠く、ぬくもりは届かない。ただ、”妃への義務”を果たす夜を重ねた。
いつからか、ゼフォンは交わりのあとに、彼女に背を向けて眠るようになった。
ゼフォンの背中に触れるシャオレイの指が、かすかに震えていることにも気づかぬふりをして。
帳《とばり》の中は、冷めた空気だけが漂っていた。
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いつからかゼフォンは、シャオレイとの夜伽の前に、紫微殿で汁物を飲むのが常となった。
湯気の立った椀を、チャオ内侍が盆に乗せてそっと差し出す。それは、精力を高めるための煎じ薬だった。皇帝が日常的に口にするものではない。
ゼフォンは、椀を一気に飲み干した。苦い薬湯が、彼の喉を落ちていく。
皇帝である自分が、薬に頼らなければ妃を抱けない。――その事実がゼフォンへ無力感を抱かせ、彼の誇りをひそやかに、確実に削っていった。
それでもゼフォンは、自分で選んだ女であるシャオレイへ、寵を与えたかった。それが、ゼフォンの最後の矜持だった。
だが、シャオレイと肌を重ねてもゼフォンの心は遠く、ぬくもりは届かない。ただ、”妃への義務”を果たす夜を重ねた。
いつからか、ゼフォンは交わりのあとに、彼女に背を向けて眠るようになった。
ゼフォンの背中に触れるシャオレイの指が、かすかに震えていることにも気づかぬふりをして。
帳《とばり》の中は、冷めた空気だけが漂っていた。