小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第42話 夢の中のぬくもり(3/5)
◆
その夜、シャオレイは夢を見た。あたたかい腕に包まれ、カサついた大きな手のひらに髪を撫でられるたびに、胸の奥がじんと熱を持つ。
『絶対に生き残れ』
静かで、強くて、決して裏切らない――そんな声だった。
(……兄さん)
寝台の中で、シャオレイはかすかにまぶたを動かした。いつのまにか涙を流していた。
隠し部屋の扉の隙間から、朝の光が細く差し込んでいた。
シャオレイは鼻をすすりながらゆっくりと身を起こした。涙をそっと手巾で拭う。
(そうね……私は自分のやるべきことをやるだけよ。
落ち込んでる場合じゃないわ……)
◆
紫微殿《しびでん》の執務室では、病から回復したドン監察官が、ゼフォンへ深く頭を下げていた。
横にはロウ侍医が控えている。
「ロウ侍医、大儀《たいぎ》であった。褒美を何なりと申すがよい」
ロウ侍医は、あらかじめシャオレイと打ち合わせていた通りに言った。
「実は――このたびの手柄は、私の物ではございません」
ゼフォンもドン監察官も、驚きの表情を浮かべる。
「ほう……では誰だ?」
「華宵宮衛帥《かしょうきゅうえいすい》の、ラン・ジュン殿でございます」
その瞬間、空気が変わった。
ドン監察官の顔は青ざめて震え、ゼフォンは眉を寄せた。
「なぜラン衛帥《えいすい》が……?」
「ラン殿は折衝都尉《せっしょうとい》時代に、ドン監察官と同じ病の兵を治療したそうです。
私に処方箋を渡してくださいました」
ドン監察官が叫んだ。
「陛下!ラン・ジュンは、この者の従者に成りすまして往診に来ました!
ならば、私が病を得たのもラン・ジュンの仕業!
きっと密かに私の屋敷に侵入して、毒を盛ったに違いありません!!」
「へ……陛下、そのようなことは決して……!」
ロウ侍医がうろたえながら否定するも、ゼフォンの目には疑いの色が浮かんでいた。
「ラン衛帥を呼べ」
◆
その夜、シャオレイは夢を見た。あたたかい腕に包まれ、カサついた大きな手のひらに髪を撫でられるたびに、胸の奥がじんと熱を持つ。
『絶対に生き残れ』
静かで、強くて、決して裏切らない――そんな声だった。
(……兄さん)
寝台の中で、シャオレイはかすかにまぶたを動かした。いつのまにか涙を流していた。
隠し部屋の扉の隙間から、朝の光が細く差し込んでいた。
シャオレイは鼻をすすりながらゆっくりと身を起こした。涙をそっと手巾で拭う。
(そうね……私は自分のやるべきことをやるだけよ。
落ち込んでる場合じゃないわ……)
◆
紫微殿《しびでん》の執務室では、病から回復したドン監察官が、ゼフォンへ深く頭を下げていた。
横にはロウ侍医が控えている。
「ロウ侍医、大儀《たいぎ》であった。褒美を何なりと申すがよい」
ロウ侍医は、あらかじめシャオレイと打ち合わせていた通りに言った。
「実は――このたびの手柄は、私の物ではございません」
ゼフォンもドン監察官も、驚きの表情を浮かべる。
「ほう……では誰だ?」
「華宵宮衛帥《かしょうきゅうえいすい》の、ラン・ジュン殿でございます」
その瞬間、空気が変わった。
ドン監察官の顔は青ざめて震え、ゼフォンは眉を寄せた。
「なぜラン衛帥《えいすい》が……?」
「ラン殿は折衝都尉《せっしょうとい》時代に、ドン監察官と同じ病の兵を治療したそうです。
私に処方箋を渡してくださいました」
ドン監察官が叫んだ。
「陛下!ラン・ジュンは、この者の従者に成りすまして往診に来ました!
ならば、私が病を得たのもラン・ジュンの仕業!
きっと密かに私の屋敷に侵入して、毒を盛ったに違いありません!!」
「へ……陛下、そのようなことは決して……!」
ロウ侍医がうろたえながら否定するも、ゼフォンの目には疑いの色が浮かんでいた。
「ラン衛帥を呼べ」