小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第43話 奈落への、秒読み
第43話 奈落への、秒読み(1/5)
◆
華宵宮《かしょうきゅう》に呼び出されたジュンは、メイレンに会うなり、平手打ちを受けた。わずかによろめき、眉を寄せた。
メイレンは怒り心頭で叫んだ。
「ひざまずけ!今すぐ!」
膝をついたジュンのあごを、メイレンがつかんだ。
「自分が何をしたか分かっておるのか!?
兵部《ひょうぶ》監察官に“毒を盛った”などと――!」
「それは、事実ではありません」
「だが――陛下もドン監察官も誰も、信じてはおらぬ。
一族連座《れんざ※》までの秒読みは、始まっているのだぞ?
それが分からぬというのか!?」 [※犯罪行為の連帯責任で処罰されること]
メイレンの怒りも当然だ。
兵部監察官に手を出すということは、皇帝への反逆に準ずるからだ。実の弟であっても、メイレンがかばえば、共倒れになる。
メイレンは、ジュンのあごをつかんだ手を乱暴に放した。
「監察官を救う?
その行動が、どれだけの火種を振りまいたか分かっていない。
お前が薬――いや、”毒を扱う”と知られれば、今度は誰が死んでも、お前が疑われるのだ」
「お言葉ですが、姉上――」
メイレンの視線が、冷たく鋭くジュンを射抜いた。
ジュンは言い直す。
「――皇后殿下。
私が駐屯地時代に医療行為をしたことは、漏れております。
ミアルですら知っておりました。
ゆえに、陛下の耳に届くのも時間の問題でした。
それならいっそ、この段階で――」
「ならば尚更だ。
お前が危険人物だと、正式に“記録”された」
不意に、メイレンはハッとして「……今回の件は、誰かの入れ知恵か?」と訊いた。
ジュンはムッとする。
「すべて、自分の意思で動きました。
殿下は、私が誰かに操られる人間だと?」
メイレンは、口答えする手駒にあきれ果てた。
「そうだな。そうだった。
お前はそういう奴だった――。
何も!何ひとつ!学ばぬ!」
黙り込むジュンへ、メイレンは鋭くため息をついた。
「ここまでかばってきた恩を忘れおって……!
戦場で失態を犯し、身の置き場がなくなったお前を救ってやったのは、お前が“弟”だからだ。
――だが、私には共に沈むつもりなど初めからない」
メイレンは野良犬でも追い払うように、手を横に振った。
ジュンは瞬時に悟った。――自分は、もはや家族ではなくなったのだ、と。それがジュンの胸に深く突き刺さった。
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華宵宮《かしょうきゅう》に呼び出されたジュンは、メイレンに会うなり、平手打ちを受けた。わずかによろめき、眉を寄せた。
メイレンは怒り心頭で叫んだ。
「ひざまずけ!今すぐ!」
膝をついたジュンのあごを、メイレンがつかんだ。
「自分が何をしたか分かっておるのか!?
兵部《ひょうぶ》監察官に“毒を盛った”などと――!」
「それは、事実ではありません」
「だが――陛下もドン監察官も誰も、信じてはおらぬ。
一族連座《れんざ※》までの秒読みは、始まっているのだぞ?
それが分からぬというのか!?」 [※犯罪行為の連帯責任で処罰されること]
メイレンの怒りも当然だ。
兵部監察官に手を出すということは、皇帝への反逆に準ずるからだ。実の弟であっても、メイレンがかばえば、共倒れになる。
メイレンは、ジュンのあごをつかんだ手を乱暴に放した。
「監察官を救う?
その行動が、どれだけの火種を振りまいたか分かっていない。
お前が薬――いや、”毒を扱う”と知られれば、今度は誰が死んでも、お前が疑われるのだ」
「お言葉ですが、姉上――」
メイレンの視線が、冷たく鋭くジュンを射抜いた。
ジュンは言い直す。
「――皇后殿下。
私が駐屯地時代に医療行為をしたことは、漏れております。
ミアルですら知っておりました。
ゆえに、陛下の耳に届くのも時間の問題でした。
それならいっそ、この段階で――」
「ならば尚更だ。
お前が危険人物だと、正式に“記録”された」
不意に、メイレンはハッとして「……今回の件は、誰かの入れ知恵か?」と訊いた。
ジュンはムッとする。
「すべて、自分の意思で動きました。
殿下は、私が誰かに操られる人間だと?」
メイレンは、口答えする手駒にあきれ果てた。
「そうだな。そうだった。
お前はそういう奴だった――。
何も!何ひとつ!学ばぬ!」
黙り込むジュンへ、メイレンは鋭くため息をついた。
「ここまでかばってきた恩を忘れおって……!
戦場で失態を犯し、身の置き場がなくなったお前を救ってやったのは、お前が“弟”だからだ。
――だが、私には共に沈むつもりなど初めからない」
メイレンは野良犬でも追い払うように、手を横に振った。
ジュンは瞬時に悟った。――自分は、もはや家族ではなくなったのだ、と。それがジュンの胸に深く突き刺さった。