小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第43話 奈落への、秒読み(2/5)




 ”ラン・ジュンが、ドン監察官に毒を盛って復讐した”という噂は、あっという間に宮中に広がった。

 宦官たちは廊下の片隅で、その話題で盛り上がっていた。
「ドン監察官を恨んでいたからな、あのお方は――」
 ひとりの宦官の言葉が終わらぬうちに、空気が一変した。

 無言で近づいてきたジュンが、その宦官の首をつかんだのだ。宦官は苦悶の声も上げられぬまま、高々と宙に持ち上げられた。

 ジュンは冷たく笑った。
「楽しそうだな。
どんな話か、教えてくれないか……?
俺の気も晴れるかもしれん」

 周囲の空気が凍りついた。

 ただならぬ気配に気づいた禁軍の巡回兵たちが、慌てて駆け寄る。
「ラン衛帥!おやめください!」

 ジュンはちらりと兵を見ると、ゴミを捨てるように宦官を放した。宦官は地面に崩れ落ち、咳き込みながら身を丸める。

 ジュンは何事もなかったかのように、スタスタと去っていった。

 その一部始終を、柱の影から見つめていたミアルの目が輝く。言いようのない熱が、彼女の背筋を駆け上がっていた。
(……なにこれ、すごい。
間近で見ると迫力だわ。
面白いわ。ジュン様って、ほんと面白い)
 ミアルは足早に、シャオレイの元へ向かった。

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