小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第44話 やさぐれた交わり(4/6)
だが――ミアルは、ジュンを背後からそっと抱きしめた。
「……俺に抱かれたいのか?」
ジュンの声には、棘があった。
ミアルは、自分の感情を探るように言った。
「いえ……ただ――私はお慰めしたいと……」
その一言に、ジュンは激高した。優しさや同情――そんなものは、彼の癇《かん》に障るだけだった。
次の瞬間、ジュンは無言でミアルを寝台に押し倒した。
ミアルは驚いていたが、抵抗はしなかった。
ジュンの動きには、力と怒りがこもっていた。だが、ただの激情ではなかった。ミアルへ必死ですがる、懸命なもがきのようだった。
ミアルは聞こえるジュンの息遣いに、心が締めつけられていた。
荒く、不規則で、時折かすれるような呼吸――それは、まるで泣いているようにさえ聞こえた。
ミアルは知っていた。
ジュンが子供の頃からずっと、誰にも認められてこなかったことを。誰よりも強く、誰よりも勝ち続けてきたのに、それでも満たされなかった理由も。
――分かっていたはずだった。
昼間、ミアルは激高して吠えるジュンを、“面白い観察対象”として眺めていた。だが、本当に傷ついたジュンの姿を、目の前で見る覚悟はしていなかった。
(ああ、この人は弱いのね――本当は。
傷ついたら痛がる、普通の人間なのよ)
ミアルの胸の奥は、焼けるように痛んだ。
同情でも、恐怖でもない。彼を理解してしまったことへの、取り返しのつかない痛みだった。
(私――とんでもないことをしてしまったんだわ。
この痛みは……彼を傷つけた罰なのよ)
ミアルはもう、ジュンを“攻略の対象”として見ることができなくなっていた。
ジュンの痛みに共鳴し、彼を愛してしまった――それが、この夜のすべてだった。
だが――ミアルは、ジュンを背後からそっと抱きしめた。
「……俺に抱かれたいのか?」
ジュンの声には、棘があった。
ミアルは、自分の感情を探るように言った。
「いえ……ただ――私はお慰めしたいと……」
その一言に、ジュンは激高した。優しさや同情――そんなものは、彼の癇《かん》に障るだけだった。
次の瞬間、ジュンは無言でミアルを寝台に押し倒した。
ミアルは驚いていたが、抵抗はしなかった。
ジュンの動きには、力と怒りがこもっていた。だが、ただの激情ではなかった。ミアルへ必死ですがる、懸命なもがきのようだった。
ミアルは聞こえるジュンの息遣いに、心が締めつけられていた。
荒く、不規則で、時折かすれるような呼吸――それは、まるで泣いているようにさえ聞こえた。
ミアルは知っていた。
ジュンが子供の頃からずっと、誰にも認められてこなかったことを。誰よりも強く、誰よりも勝ち続けてきたのに、それでも満たされなかった理由も。
――分かっていたはずだった。
昼間、ミアルは激高して吠えるジュンを、“面白い観察対象”として眺めていた。だが、本当に傷ついたジュンの姿を、目の前で見る覚悟はしていなかった。
(ああ、この人は弱いのね――本当は。
傷ついたら痛がる、普通の人間なのよ)
ミアルの胸の奥は、焼けるように痛んだ。
同情でも、恐怖でもない。彼を理解してしまったことへの、取り返しのつかない痛みだった。
(私――とんでもないことをしてしまったんだわ。
この痛みは……彼を傷つけた罰なのよ)
ミアルはもう、ジュンを“攻略の対象”として見ることができなくなっていた。
ジュンの痛みに共鳴し、彼を愛してしまった――それが、この夜のすべてだった。