小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第46話 今さらの急浮上
第46話 今さらの急浮上(1/6)
衣《ころも》を整えたミアルは、鏡台の前に座って髪を結い直していた。ジュンとの交わりの余韻に浸っていたが、実は胸の奥でそっと傷ついていた。
昨夜、ミアルはむき出しの心を見せるジュンに共鳴し、本気で愛してしまった。
だが、ジュンは昨夜のできごとを、”事故”として片付けた。それはもう覆《くつがえ》らない。
それがなぜミアルを傷つけるのかが、今の彼女には分からなかった。
ジュンは卓の椅子に座って茶を飲みながら、ミアルを見つめていた。
(そういえば……俺にゆるしを乞わないな、こいつ。さっきはただ、うなずいただけだ)
かつて、ジュンの妾たちは屈服の言葉を吐いていた。
『どうか許して。あなたに捨てられたら生きていけないの』
『あなたに従うわ。あなたが私のすべてなの』
だが、そんな言葉はミアルの口からは、こぼれなかった。
ミアルは自覚していなかったが、ジュンへの罪悪感はあっても、ゆるされたいとは思っていなかった。
”女”のミアルと”観察者”のミアルがジュンに浮かれている間も、”シャオレイの下僕《しもべ》”のミアルは冷静だった。
”任務なのだから、ジュンを傷つけるのは仕方ない”と。
それを、ジュンは違和感として察知していた。
(この女は……皇帝の間者かもしれんな。
俺から逃げず、怯えず、ゆるしを乞わず、ただ俺を受け入れている。
――並の女じゃない。
俺を観察していたというのも……皇帝の命《めい》か?)
ジュンの推理は、真相とはズレているものの、肉薄していた。
衣《ころも》を整えたミアルは、鏡台の前に座って髪を結い直していた。ジュンとの交わりの余韻に浸っていたが、実は胸の奥でそっと傷ついていた。
昨夜、ミアルはむき出しの心を見せるジュンに共鳴し、本気で愛してしまった。
だが、ジュンは昨夜のできごとを、”事故”として片付けた。それはもう覆《くつがえ》らない。
それがなぜミアルを傷つけるのかが、今の彼女には分からなかった。
ジュンは卓の椅子に座って茶を飲みながら、ミアルを見つめていた。
(そういえば……俺にゆるしを乞わないな、こいつ。さっきはただ、うなずいただけだ)
かつて、ジュンの妾たちは屈服の言葉を吐いていた。
『どうか許して。あなたに捨てられたら生きていけないの』
『あなたに従うわ。あなたが私のすべてなの』
だが、そんな言葉はミアルの口からは、こぼれなかった。
ミアルは自覚していなかったが、ジュンへの罪悪感はあっても、ゆるされたいとは思っていなかった。
”女”のミアルと”観察者”のミアルがジュンに浮かれている間も、”シャオレイの下僕《しもべ》”のミアルは冷静だった。
”任務なのだから、ジュンを傷つけるのは仕方ない”と。
それを、ジュンは違和感として察知していた。
(この女は……皇帝の間者かもしれんな。
俺から逃げず、怯えず、ゆるしを乞わず、ただ俺を受け入れている。
――並の女じゃない。
俺を観察していたというのも……皇帝の命《めい》か?)
ジュンの推理は、真相とはズレているものの、肉薄していた。