小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第46話 今さらの急浮上(2/6)
ジュンは茶を置いてミアルの元へ行き、鏡台に置いてあるかんざしを手に取った。
「……このかんざし、よくしているな」
「父から貰ったんです」
本当はフェイリンから与えられた仕込みかんざしだったが、ミアルは顔色ひとつ変えずに嘘をついた。
「父親を大事にするのはいいことだ」
ジュンはそう言って、ミアルの髪に唇を寄せた。
その瞬間、白檀の香りがジュンの鼻をくすぐった。
甘くはないが、親密な者だけが気づくかすかな香り――それが、ジュンの独占欲を刺激した。
ミアルは目を伏せて、はにかんでいた。
ジュンはかんざしを手の中で軽く整え、ミアルの髪へと向けた。
ジュンの左手の指が、ミアルの髪をなぞって押さえる。
そして、右手のかんざしが、やわらかな髪へ、静かに沈んでいく。
鏡の中のミアルが、目を細めて、白い歯をのぞかせる。頬にはほんのりと、紅がさしたような色が差していた。
それは――ありふれた女と同じ反応だった。
ジュンも、ほほ笑んだ。
(――それでも構わん。
この女は、たしかに俺を愛している。
演技なんかじゃない。
俺は格上だから、こいつを――いや……すべてを御《ぎょ》せる)
ジュンは茶を置いてミアルの元へ行き、鏡台に置いてあるかんざしを手に取った。
「……このかんざし、よくしているな」
「父から貰ったんです」
本当はフェイリンから与えられた仕込みかんざしだったが、ミアルは顔色ひとつ変えずに嘘をついた。
「父親を大事にするのはいいことだ」
ジュンはそう言って、ミアルの髪に唇を寄せた。
その瞬間、白檀の香りがジュンの鼻をくすぐった。
甘くはないが、親密な者だけが気づくかすかな香り――それが、ジュンの独占欲を刺激した。
ミアルは目を伏せて、はにかんでいた。
ジュンはかんざしを手の中で軽く整え、ミアルの髪へと向けた。
ジュンの左手の指が、ミアルの髪をなぞって押さえる。
そして、右手のかんざしが、やわらかな髪へ、静かに沈んでいく。
鏡の中のミアルが、目を細めて、白い歯をのぞかせる。頬にはほんのりと、紅がさしたような色が差していた。
それは――ありふれた女と同じ反応だった。
ジュンも、ほほ笑んだ。
(――それでも構わん。
この女は、たしかに俺を愛している。
演技なんかじゃない。
俺は格上だから、こいつを――いや……すべてを御《ぎょ》せる)