小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第47話 叶わぬ相思相愛
第47話 叶わぬ相思相愛(1/4)
◆
同日の夕方、出征していたリャン将軍たちの軍が、ようやく帰還した。
予定よりもかなり遅かった理由は、口止めされていたものの、一部の者には周知されていた。
◆
その夜、ジュンは私邸でミアルとその話で盛り上がっていた。ふたりで長椅子に腰かけ、酒をあおる。
ジュンは大笑いしながら「リャン将軍が、あそこまで愚かだったとは!」と語った。
「弱ったふりで撤退する敵を深追いし、伏兵に襲われて副将が戦死だぞ?
子供のごっこ遊びですら、もっとマシに戦う。
ああ……せめて、あいつが前に出ればなんとかなったのにな。後方で震えていたとは……」
ミアルも笑っている。
「そのあと、どうなりましたの?」
「戦が長引いたせいで補給が底をつき、他部隊から融通してなんとか延命したのだ。
そして帰りは、大雨のせいで橋が崩落して迂回するはめになった。
――リャン将軍の“栄誉”は未来永劫、語り継がれるだろう」
ミアルはジュンの胸にもたれて、彼の笑いの振動を頬で感じていた。
その響き、ぬくもり――それらすべてが、ミアルには愛おしかった。
(ああ……ジュン様には笑っていてほしい。
そして、私は観察していたいの。
ずっとずっと、こうして……)
ミアルの心は、甘くほどけていく。
一時でも”妃の下僕《しもべ》”である自分を忘れ、“ジュンの女”でいることを許されているような気がした。この夜だけは、夢を見ていたかった。
ミアルがちらりとジュンを見ると、彼の目の端には涙がにじんでいる。リャン将軍の失態が、よほど愉快だったらしい。
その顔に、ミアルの女心は点火された。ミアルはジュンの首に腕を絡ませ、彼の目の端をペロリと舐めた。
(少し、しょっぱい――これがジュン様の味)
少し眉を上げたジュンへ、ミアルはふふ、と笑いかけた。
◆
同日の夕方、出征していたリャン将軍たちの軍が、ようやく帰還した。
予定よりもかなり遅かった理由は、口止めされていたものの、一部の者には周知されていた。
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その夜、ジュンは私邸でミアルとその話で盛り上がっていた。ふたりで長椅子に腰かけ、酒をあおる。
ジュンは大笑いしながら「リャン将軍が、あそこまで愚かだったとは!」と語った。
「弱ったふりで撤退する敵を深追いし、伏兵に襲われて副将が戦死だぞ?
子供のごっこ遊びですら、もっとマシに戦う。
ああ……せめて、あいつが前に出ればなんとかなったのにな。後方で震えていたとは……」
ミアルも笑っている。
「そのあと、どうなりましたの?」
「戦が長引いたせいで補給が底をつき、他部隊から融通してなんとか延命したのだ。
そして帰りは、大雨のせいで橋が崩落して迂回するはめになった。
――リャン将軍の“栄誉”は未来永劫、語り継がれるだろう」
ミアルはジュンの胸にもたれて、彼の笑いの振動を頬で感じていた。
その響き、ぬくもり――それらすべてが、ミアルには愛おしかった。
(ああ……ジュン様には笑っていてほしい。
そして、私は観察していたいの。
ずっとずっと、こうして……)
ミアルの心は、甘くほどけていく。
一時でも”妃の下僕《しもべ》”である自分を忘れ、“ジュンの女”でいることを許されているような気がした。この夜だけは、夢を見ていたかった。
ミアルがちらりとジュンを見ると、彼の目の端には涙がにじんでいる。リャン将軍の失態が、よほど愉快だったらしい。
その顔に、ミアルの女心は点火された。ミアルはジュンの首に腕を絡ませ、彼の目の端をペロリと舐めた。
(少し、しょっぱい――これがジュン様の味)
少し眉を上げたジュンへ、ミアルはふふ、と笑いかけた。