小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第47話 叶わぬ相思相愛(3/4)


 ミアルの出した答えは――ジュンへの口づけだった。
 ジュンが瞳を細めた瞬間、ミアルは堰《せき》を切ったように唇を重ねた。”女”としてのミアルは息継ぎの合間にジュンの名を何度も呼び、彼の頭を抱きしめる。
 “妃の下僕《しもべ》”としてのミアルが、彼女自身をとがめた。
(そんなことしたら引き返せなくなるわ。
――まさか、そのつもり?)

 ジュンは”始まった”と思っていた。
(やっぱり、ミアルは俺を選んだ。
今夜で完全に落ちたな……俺の勝ちだ)

 ジュンはミアルを抱き上げて、寝台へ運んだ。そっとミアルを横たえると、帳《とばり》を下ろした。
 これ以上ないくらい、ジュンは優しく丁寧だった。――まるで、あの夜の獣の自分を上書きするかのように。

 ミアルはジュンに甘く抱かれながらも、その胸は悲壮感で満ちていた。
(とうとう恋の終わりが来たのね……)

 ジュンの首すじに鼻先を寄せたミアルは、汗の混じった彼の匂いをそっと吸い込んだ。
(ジュン様を嗅げるのも、触れられるのも、これが最後。
涼しげな瞳も熱い腕も……本当に、本当に最後なんだわ。
いえ……最後にしなくちゃいけないの)
 潤んだミアルの瞳が、ジュンのすべてを記録しようと、彼を射抜いていた。だが、あふれ出した涙でにじんで見えない。

 ジュンはそれすらも、ミアルが悦びに震えていると受け取っていた。
 ミアルのつややかな髪に指を通すと、それすらもジュンを欲しがるように絡みつく。
(この女はもう、俺のとりこだ)

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