小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第48話 皇帝と臣下(5/5)
◆
紫微殿では、ゼフォンが執務机に向かい、上奏文を決裁していた。
シャオレイは、和やかに声をかけた。
「陛下に差し入れを持って参りました。目の疲れに効く、汁物を……」
ゼフォンはちらりとシャオレイを見て、朱筆《しゅひつ》を置いた。
「――ミアルはどうした?」
シャオレイは息をついて、言った。
「そのことで、陛下に緊急で、お耳に入れたいことがございます」
改まった彼女の声に、ゼフォンはわずかに眉を寄せた。それから、チャオ内侍以外の者を全て下がらせた。
「申してみよ」
「ミアルが朝見後に、行方不明になりました。
華宵宮の門を出たときは、確かに一緒でした。
――おそらく、華宵宮のラン衛帥《えいすい》の仕業でございます」
ゼフォンは一瞬眉を上げた。
(まさか、密告の件と関係があるのか?)
だが、ゼフォンは冷静に「なぜ、そう思うのだ?」と返した。
「ミアルは、ラン衛帥に言い寄られておりました。
ミアルが彼から離れたゆえ、連れ去られたのかと……」
「……ミアルは、奴に”応じて”いたのか?」
「はい……一線を超えていたようでございます」
ゼフォンの目が見開かれた。
(ミアル……なぜあの男と、そんな真似を……)
ゼフォンにとってジュンは、警戒すべき存在だった。そんなジュンがミアルに接触していたことをゼフォンが知らないのは、失態だった。
「ラン・ジュンがミアルに接触していると知っていたなら……なぜ、予に知らせなかったのだ……?」
「わざわざ陛下のお耳に入れることではないかと――」
「それは予が判断することだ!」
ゼフォンに強く責められて、すぐにシャオレイは「私めの失言でございました」と、ひざまずいた。
今のふたりは、夫婦ではない。――皇帝と臣下なのだ。
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紫微殿では、ゼフォンが執務机に向かい、上奏文を決裁していた。
シャオレイは、和やかに声をかけた。
「陛下に差し入れを持って参りました。目の疲れに効く、汁物を……」
ゼフォンはちらりとシャオレイを見て、朱筆《しゅひつ》を置いた。
「――ミアルはどうした?」
シャオレイは息をついて、言った。
「そのことで、陛下に緊急で、お耳に入れたいことがございます」
改まった彼女の声に、ゼフォンはわずかに眉を寄せた。それから、チャオ内侍以外の者を全て下がらせた。
「申してみよ」
「ミアルが朝見後に、行方不明になりました。
華宵宮の門を出たときは、確かに一緒でした。
――おそらく、華宵宮のラン衛帥《えいすい》の仕業でございます」
ゼフォンは一瞬眉を上げた。
(まさか、密告の件と関係があるのか?)
だが、ゼフォンは冷静に「なぜ、そう思うのだ?」と返した。
「ミアルは、ラン衛帥に言い寄られておりました。
ミアルが彼から離れたゆえ、連れ去られたのかと……」
「……ミアルは、奴に”応じて”いたのか?」
「はい……一線を超えていたようでございます」
ゼフォンの目が見開かれた。
(ミアル……なぜあの男と、そんな真似を……)
ゼフォンにとってジュンは、警戒すべき存在だった。そんなジュンがミアルに接触していたことをゼフォンが知らないのは、失態だった。
「ラン・ジュンがミアルに接触していると知っていたなら……なぜ、予に知らせなかったのだ……?」
「わざわざ陛下のお耳に入れることではないかと――」
「それは予が判断することだ!」
ゼフォンに強く責められて、すぐにシャオレイは「私めの失言でございました」と、ひざまずいた。
今のふたりは、夫婦ではない。――皇帝と臣下なのだ。