小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第49話 一瞬の本音(3/6)




 シャオレイは侍女と共に、トボトボと帰り道を歩いていた。
(また嘘を重ねてしまった。
――でも、何を話せばいいの……?
”私めは、陛下の暗殺を阻止しようとしておりました”とでも言うの?
そんなの無茶よ……陛下の暗殺を私が知ってた理由なんか言えないわ。
“前世から回帰転生してきた”なんて、荒唐無稽だもの。
ゼフォンに信じてもらえないどころか、不信感をつのらせるだけ……)

 ゼフォンはいつも、シャオレイに優しかった。どれほどの重圧の中にいても、ゼフォンのほほ笑みは穏やかで、シャオレイを抱きしめる腕は強かった。
 最近はどこかぎこちない空気だったが、それでも一定のシャオレイへの気遣いがあった。
 だが、先ほどのゼフォンは違っていた。皇帝としての冷徹さが、その目に宿っていた。

(陛下は、私のことを疑い始めたわ。
いえ……贈り物の件から疑われてたのね――)

 ゼフォンは、妃が政《まつりごと》に関わるのを嫌う。彼にとって後宮とは、癒しと安らぎの存在だからだ。

(そのことを知っていたけど、”理解”はしていなかった。
もしも私の企みがすべて露見したら……)
 強い恐怖がシャオレイを飲み込んでいた。――前世でジュンに殺されたときよりも。
 シャオレイは耐え切れず、その場に崩れ落ちた。
(たとえ謀反を防いだ功績があっても、陛下の愛を失うかもしれない)
 シャオレイには、ゼフォンが正しいと分かっていた。だがその正しさが、シャオレイを斬りつけていた。

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