小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第50話 義兄《あに》からの脱却

第50話 義兄《あに》からの脱却(1/6)


「――それなら、ラン・ジュンの潜伏場所へ拉致されたのかもしれないな」
 そう言って、フェイリンは懐から地図を取り出し、卓の上に広げた。地図には、ジュンの潜伏場所を示す印がいくつもあった。
「話を聞く限り、ジュンはミアルに相当執着している。
ならば……ミアルの命を奪うことはしないだろう」

「じゃあ、ミアルはまだ無事……?」

「可能性は高い」

 確信を含んだフェイリンの言葉に、シャオレイは緊張が少しずつ解けていくのを感じた。地図を眺めながら、呟いた。
「潜伏場所が多いわね……しかもバラバラだわ。
陛下に話せば、全部に兵を派遣してくれそうだけど……」

「そんなことをしたら、そなたも皇帝にいらぬ疑いをかけられるぞ」

「……そうね」
 
 シャオレイは地図に視線を落とし、なんとなくジュンの潜伏場所を指でなぞり始めた。それは、ただの気を紛らわせる仕草だった。
 だが、不意にシャオレイの額の小鳥がチリッと疼いた。シャオレイの指が触れていたのは――都の西を流れる大河の西側の印だった。
「……?」

 驚くシャオレイに、フェイリンが眉を上げた。

 シャオレイは、他の印に触れた。だが、小鳥の反応はない。最初に反応があった印へもう一度触れると、また小鳥が疼いた。
「まさか――!?」

「……分かったのか?」

「小鳥が教えてくれたの。
この子は意味のないことはしないはず……気まぐれみたいだけど」

 ふたりのあいだに、沈黙が流れた。
 シャオレイは考え込んだ。
(どうしよう……陛下にこのことを伝える?
”ミアルの居場所を、私の額の小鳥が教えてくれたの”って。
――いえ、気が触れたと思われるわね)

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