小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第50話 義兄《あに》からの脱却(4/6)


「ダン・ゼフォンにとって、そなたは臣下でしかないぞ」
 フェイリンの声音は冷たかった。

 臣下。
 その言葉に、シャオレイの表情が曇った。シャオレイは、紫微殿でのゼフォンとのやりとりを思い出してしまった。だが、フェイリンへ気丈に言い返した。
「……そうよ?妃は臣下でもあるわ」

「そなたが臣下だから、奴はそなたを守らないんだ」

 フェイリンの言葉は、シャオレイの胸を深くえぐる。シャオレイは、うつむいて声を震わせた。
「どうしてそんなこと言うの……」

 その瞬間、フェイリンは彼女を抱き寄せた。――強引なのに、優しく。
「”どうして”……?
俺は、皇帝にそなたを託したわけじゃない。
だが、そなたを守るのは奴の責務だ。
なのに、そなたをこんなに弱らせた。
俺ならこんなことはしない」

「これは、ちょっと疲れが出ただけよ……」
 シャオレイは困惑していた。
(もしかして、陛下に怒ってるの?)

 フェイリンはシャオレイの顔を覗き込みながら、頬を撫でた。
「俺と最後に会ったときは、あんなに元気だっただろう……?」
 フェイリンの目には、痛ましさがにじんでいた。心のうちを滅多に見せない彼が、こんなにも真っすぐに、シャオレイに優しいまなざしを向けている。

 こんなフェイリンを、シャオレイは知らなかった。
(いつも無愛想なのに……どうして?)

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