小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第54話 冷ややかな理性

第54話 冷ややかな理性(1/5)




 大河の東側の平原を、1頭の馬が駆け抜けていた。
 そこに乗っているのは、シャオレイとサン内侍だった。乗馬のできないシャオレイの後ろに座ったサン内侍が、馬を操作していた

 シャオレイはいつもの華やかな格好は封印し、動きやすいように男装をしていた。
 髪を高くひとつに結い上げ、フェイリンから貰った仕込みかんざしを挿している。濃紺のひざ丈の上衣を革の腰帯で留め、革の長靴《ちょうか》を履いていた。

 大河の手前に差しかかったとき、シャオレイの額の小鳥が疼いた。
「止まって!」
 シャオレイは、サン内侍に馬を止めさせた。
(フェイリンが近くにいるの?
それともミアル?
――まさか……ラン・ジュン?)
 シャオレイは身震いし、サン内侍へ「隠れましょう」と命じた。ふたりは馬に乗ったまま、木の影に身をひそめる。

 やがて、林の奥から馬が駆けてくる音が近づいてくる。

 息を殺して待ち伏せているシャオレイの目に映ったのは――フェイリンだった。彼の配下も伴っている。

「フェイリン!」

 シャオレイに呼びかけられ、フェイリンは馬を急停止させた。

 振り向いたフェイリンは、幽霊でも見ているかのような顔をした。こんな場所でシャオレイに再会するとは、全く想定していなかったからだ。

 そんなフェイリンにシャオレイは近寄り、「ミアルは?」と尋ねた。

 フェイリンは、気を取り直して言った。
「いや、もぬけの殻だった。
おそらく遠くへ移動させられたんだろう。
だから、そなたへ助言を仰ぎに戻ろうとしていた。
――謀反はどうなった?」

「あなたの予想通り、失敗してたわ。
――ミアルの移動先が分かったから、向かいましょう」

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