小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第54話 冷ややかな理性(4/5)
◆
翌朝、幕舎の中では毛皮つきの外套を羽織ったミアルが、手炉《しゅろ※》を持ってジュンの帰りを待っていた。 [※手を温めるための小型の火鉢]
すると、外から馬のひづめの音が近づいてきた。
ミアルがすぐに出入り口の隙間から外を覗くと、そこにはジュンの姿があった。ミアルの心に、安堵と高鳴りが広がった。
ジュンは、配下たちと話し合いをしていた。禁軍統領の私邸で捕まった、ジュンの配下たちについてだった。
「向こうも失敗したか。――父上が裏切るとはな……」
「全員自害したのを、この目で見届けました」
「ご苦労」
ジュンは淡々とした声で、失敗を受け入れていた。
◆
しばらくして、ジュンが幕舎に入ってきた。
ミアルは「ジュン様……!」と叫んで彼へ駆け寄った。
ジュンも笑みを浮かべて「ミアル!」と叫ぶ。
そして、ミアルは目に涙をにじませながら、ジュンの胸に飛び込んだ。ジュンの体からは血と土埃の臭いがして、激しい戦いを物語っていた。
「本当にご無事で……!
夢じゃないのね……?」
ミアルは、ジュンを両手で触れた。肩、腕、胸――ジュンの体に怪我がないかを、確かめながら撫でていく。
「お前は、俺を誰だと思っている」
ジュンはそう言ってから、腕の中のミアルを少し引き離すと、その姿をじっくりと眺めた。
華やかに結い上げた髪、繊細な刺繍が施された深緑色の衣――それから帯にかけられた佩玉。ジュンはそれに目を留めたまま、口の端を上げて言った。
「やはりお前には、派手な格好が似合う」
ミアルははにかんだが、すぐに不安の色をにじませた。
「謀反はどうなったの……?」
「また機会はある。やり直しだ」
ジュンは苦笑を浮かべながらも、全く落ち込んでいる様子はない。
「でも……ジュン様が無事でよかった」
正直な気持ちを口にしたミアルを、ジュンは冷めた目でチラリと見た。
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翌朝、幕舎の中では毛皮つきの外套を羽織ったミアルが、手炉《しゅろ※》を持ってジュンの帰りを待っていた。 [※手を温めるための小型の火鉢]
すると、外から馬のひづめの音が近づいてきた。
ミアルがすぐに出入り口の隙間から外を覗くと、そこにはジュンの姿があった。ミアルの心に、安堵と高鳴りが広がった。
ジュンは、配下たちと話し合いをしていた。禁軍統領の私邸で捕まった、ジュンの配下たちについてだった。
「向こうも失敗したか。――父上が裏切るとはな……」
「全員自害したのを、この目で見届けました」
「ご苦労」
ジュンは淡々とした声で、失敗を受け入れていた。
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しばらくして、ジュンが幕舎に入ってきた。
ミアルは「ジュン様……!」と叫んで彼へ駆け寄った。
ジュンも笑みを浮かべて「ミアル!」と叫ぶ。
そして、ミアルは目に涙をにじませながら、ジュンの胸に飛び込んだ。ジュンの体からは血と土埃の臭いがして、激しい戦いを物語っていた。
「本当にご無事で……!
夢じゃないのね……?」
ミアルは、ジュンを両手で触れた。肩、腕、胸――ジュンの体に怪我がないかを、確かめながら撫でていく。
「お前は、俺を誰だと思っている」
ジュンはそう言ってから、腕の中のミアルを少し引き離すと、その姿をじっくりと眺めた。
華やかに結い上げた髪、繊細な刺繍が施された深緑色の衣――それから帯にかけられた佩玉。ジュンはそれに目を留めたまま、口の端を上げて言った。
「やはりお前には、派手な格好が似合う」
ミアルははにかんだが、すぐに不安の色をにじませた。
「謀反はどうなったの……?」
「また機会はある。やり直しだ」
ジュンは苦笑を浮かべながらも、全く落ち込んでいる様子はない。
「でも……ジュン様が無事でよかった」
正直な気持ちを口にしたミアルを、ジュンは冷めた目でチラリと見た。