小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第56話 ミアルの賭け(5/6)




 ジュンは、侵入者の気配に気づいた。倒れたまま首を動かすと、そこには――シャオレイがいた。
「お前……!」

 シャオレイはかんざしを向けて、警戒の声を上げた。
「動かないで!刺すわよ」

 ミアルはシャオレイの声を聞いて、感動していた。
(妃様――!やっぱり来てくださった……)

 シャオレイはジュンを目で捉えたまま、慎重にミアルの元へ歩み寄った。
「ミアル!――毒を盛られたのね?」

 ミアルは小さくうなずいた。

「……ミアルに、触るな……っ」
 ジュンは叫んだ。

 だが、シャオレイはジュンに駆け寄り、その頬を打った。
「また、やったのね!」
 前世でジュンに毒殺された、シャオレイの怒りが沸騰していた。

 だが、シャオレイの言葉の意味を、今世のジュンは知らない。

 にらみつけるジュンに構わず、シャオレイは、解毒薬を探し始めた。
 腰の短刀を取り出し、ジュンの腰帯を一気に切り裂いた。そのとたんに、ジュンの上衣が緩む。シャオレイはそれをはだけさせ、短刀で両袖を割いた。

 シャオレイに辱《はずかし》められて、ジュンが忌々しそうに言った。
「お前を八つ裂きにしてやる…!」

 だが、シャオレイは冷ややかに返した。
「おあいにく様。私はすでに、前世であなたに毒殺されてるわ」

「何が前世だ……。――触るな!」

 シャオレイは構わず、ジュンの上半身を剥き出しにした。すると、小さな包みや筒がいくつか出てきた。
(どれが解毒薬なの……?)

 戸惑うシャオレイに、ジュンがあざ笑った。
「お前には分からんだろう!?ミアルは助けられん!死ぬぞ!」

「教えなさい!解毒薬はどれ!?」
 シャオレイは、短刀をジュンの首すじに突きつけた。

 だが、ジュンは勝ち誇ったように高笑いを上げた。

< 278 / 296 >

この作品をシェア

pagetop