小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―

第57話 むなしき流れ

第57話 むなしき流れ(1/6)


 やがて、フェイリンは寝台の脇へ腰を下ろした。虫の息で横たわるミアルの上体を起こし、自分の体にもたれさせる。

 ジュンが「俺の女に触るなっ!!」と吠えた。

 フェイリンはそれを無視して、ミアルの口元に丸薬を近づけた。

 その瞬間――ジュンの顔色が変わった。
「よせ!死ぬぞっ!!」

 フェイリンはぴたりと動きを止め、ジュンをちらりと見た。

 ジュンは、フェイリンに引っかけられたことに気づいて、奥歯を噛みしめた。

 フェイリンはすぐに粉薬をミアルの口に含ませ、水で流し込んだ。
「飲め」

 フェイリンの言葉に、ミアルは喉を動かした。

 ミアルが飲み終えたことを確認して、フェイリンは彼女をそっと寝台に横たえた。

 しばらくすると、ミアルの血色は良くなり、呼吸が徐々に楽になっていった。

 ジュンは殺意のこもった目でフェイリンを突き刺し、声を震わせた。
「俺の女に……手を出したな……!」

 フェイリンは、軽蔑した目でジュンを見下ろした。

 ジュンは信じていた。
 自分だけがミアルの命を握っているのだと。自分だけが、ミアルの特別であるのだと。
 だが、その幻想をフェイリンにあっさりと打ち砕かれた。
 毒の効き目が薄れてきたのを感じとったジュンは、よろめきながら立ち上がった。

 それを見て、シャオレイが後ずさった。

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