小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第57話 むなしき流れ(4/6)




 フェイリンたちを追っていたシャオレイとミアルは、道中で言葉を失った。

 地面には、フェイリンの配下とサン内侍の遺体が転がっていたからだ。

 嫌な予感を抱きつつ、ふたりは金属音が鳴るほうへ向かった。

 すると――開けた平地ではいつの間にか縄から脱したジュンが、フェイリンと戦っていた。

 狂ったように笑いながら刀を振り回すジュンに、シャオレイは恐怖を感じた。無意識に短刀を鞘から抜き、仕込みかんざしを握りしめた。
(もし、フェイリンがやられたら、私がラン・ジュンを殺す。
あんな男に2度も殺されるのは、ごめんだわ)
 だが、シャオレイは自分の思考に、身震いした。
(――フェイリンが、死ぬ……?)
 シャオレイは早い鼓動を落ち着けるように、深く息をついた。そして、嫌な予感を振り払おうと、頭を振った。
(そんなこと……あるわけない……!)

「ミアルにあのかんざしを渡したのは……お前だろ!?」
 ジュンが叫んだ。

 フェイリンは冷ややかな視線でそれを受け流しつつ、冷静に間合いを測っていた。

「ずっと俺の女の髪を飾ってたとはな――。
俺も舐められたものだ!」
 ジュンの瞳は憎悪に濁り、言葉の端々に怒りがにじんでいる。ジュンの刀は激しく打ち込まれるたびに、力を増すようだった。
「ミアルに俺を殺させようとしたのも――全部お前だろう!?俺の女を横取りした罪は重いぞ!」

「何が“俺の女”だ……殺そうとしてたくせに」

「ミアルの命は俺のものだ……!
誰にも、ふれさせない……」

 勘違いしたままのジュンにあおられているうちに、フェイリンの中で怒りとむなしさが渦巻いていった。
(女に捨てられて狂ってる男を相手にするのか……俺が)

 ミアルは今でも、ジュンを見捨ててはいない。だが、ミアル以外は誰もそのことを信じていなかった。

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