小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第57話 むなしき流れ(5/6)
不意に、ジュンは冷静さを取り戻した。
「――そういえば、お前は誰だ?
名を聞いてやってもいいぞ」
その言葉に、フェイリンの怒りが沸騰した。切っ先を弾いて一歩下がり、憎悪混じりに怒鳴った。
「俺の名はユン・フェイリン!
12年前にラン家に滅ぼされたユン家の者だ……!」
「ユン家……?知らんな。
――12年前と言ったら、俺は13歳か。
残念ながら”討伐”には参加していない」
ジュンが”討伐”という言葉をわざと選んだことは、フェイリンも分かっていた。女子供までも皆殺しにされたユン家を、”正当な処罰だった”と、ジュンはあざけっているのだ。
「貴様がラン家の一員である以上、関係ないとは言わせない――!」
そのとき、ジュンは視線を感じた。
ジュンの目が一瞬だけ刀からそれた先には――彼をまっすぐに見るミアルの姿があった。
その瞬間、ジュンは思い出した。いつも、ミアルから見つめられていたことを。
それがジュンの胸の奥をくすぐるのが、腹立たしかった。
だからジュンは、ミアルへ「死にゆく俺が面白いだろう!?」と、皮肉混じりの怒号を飛ばした。喉が焼けるほど叫んだが、ジュンの怒りは収まらなかった。
ジュンに怒声を浴びせられたミアルには、ほのかな悦びが湧いていた。
(ジュン様はまだ……私を見ている。
――私だけを)
今でもミアルに囚われているジュンの姿が、ミアルの胸を焼く。だが、その気持ちはすぐにかき消された。
ジュンの肩がわずかに落ちた。呼吸が乱れ、足がふらつく。――毒の影響が、確実に彼の命を削っていた。
ミアルは瞬時に察した。ジュンが強引に攻めるのは、もう余力が残されていないことの証しだった。
不意に、ジュンは冷静さを取り戻した。
「――そういえば、お前は誰だ?
名を聞いてやってもいいぞ」
その言葉に、フェイリンの怒りが沸騰した。切っ先を弾いて一歩下がり、憎悪混じりに怒鳴った。
「俺の名はユン・フェイリン!
12年前にラン家に滅ぼされたユン家の者だ……!」
「ユン家……?知らんな。
――12年前と言ったら、俺は13歳か。
残念ながら”討伐”には参加していない」
ジュンが”討伐”という言葉をわざと選んだことは、フェイリンも分かっていた。女子供までも皆殺しにされたユン家を、”正当な処罰だった”と、ジュンはあざけっているのだ。
「貴様がラン家の一員である以上、関係ないとは言わせない――!」
そのとき、ジュンは視線を感じた。
ジュンの目が一瞬だけ刀からそれた先には――彼をまっすぐに見るミアルの姿があった。
その瞬間、ジュンは思い出した。いつも、ミアルから見つめられていたことを。
それがジュンの胸の奥をくすぐるのが、腹立たしかった。
だからジュンは、ミアルへ「死にゆく俺が面白いだろう!?」と、皮肉混じりの怒号を飛ばした。喉が焼けるほど叫んだが、ジュンの怒りは収まらなかった。
ジュンに怒声を浴びせられたミアルには、ほのかな悦びが湧いていた。
(ジュン様はまだ……私を見ている。
――私だけを)
今でもミアルに囚われているジュンの姿が、ミアルの胸を焼く。だが、その気持ちはすぐにかき消された。
ジュンの肩がわずかに落ちた。呼吸が乱れ、足がふらつく。――毒の影響が、確実に彼の命を削っていた。
ミアルは瞬時に察した。ジュンが強引に攻めるのは、もう余力が残されていないことの証しだった。