小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第57話 むなしき流れ(6/6)
ミアルの喉から、乾いた息が漏れた。
(助けなきゃ……ジュン様を……)
ミアルがここへ来たのは、ジュンを殺すためでも、裁くためでも、見捨てるためでもない。
ただ、ジュンを生かすために救い出すと、命を賭けて誓ったからだ。
だが――ミアルの体の芯から震えが湧き、一歩踏み出そうとしても、足がすくんで動かなかった。声を出したくても、喉が焼けついて何も言えない。
ジュンとフェイリンの刀が交わるたびに響く、殺気混じりの金属音。それが、ミアルの恐怖を呼び覚ましていた。
ミアルは初めて見る本物の殺し合いを前に、ただ立ち尽くすしかなかった。
ジュンの額には、玉のような汗がにじんでいた。
フェイリンの切っ先が、ジュンの体をかすめ始めた。
ジュンが刀を両手で構え直した理由が、ミアルにもはっきり分かっていた。――ジュンはもう、刀を片手で振れない。ジュンの右腕の傷から、手まで血がしたたり落ちていた。
ジュンの、死への秒読みが始まっていた。
ミアルの目から涙があふれた瞬間、ある感情が湧いた。――それはたまらなく身勝手で、幼稚なもの。
(みんな、どうして……どうして寄ってたかってジュン様を殺そうとするの……?
ひどいじゃない……)
悲しみが身体の奥から突き上げ、ミアルは崩れ落ちた。
その姿に、ミアルのそばで戦いを見守っていたシャオレイは衝撃を受けた。
シャオレイの知っているミアルは、いつも冷静で、度胸があり、一時の情に流されない侍女だったからだ。
そんなミアルが、泣き崩れていた。――男を愛する、ただの女のように。
(そこまで……ラン・ジュンのことを――!?)
シャオレイはそっと屈み、ミアルの震える背中をさすった。そうすることしか、できなかった。
ミアルの喉から、乾いた息が漏れた。
(助けなきゃ……ジュン様を……)
ミアルがここへ来たのは、ジュンを殺すためでも、裁くためでも、見捨てるためでもない。
ただ、ジュンを生かすために救い出すと、命を賭けて誓ったからだ。
だが――ミアルの体の芯から震えが湧き、一歩踏み出そうとしても、足がすくんで動かなかった。声を出したくても、喉が焼けついて何も言えない。
ジュンとフェイリンの刀が交わるたびに響く、殺気混じりの金属音。それが、ミアルの恐怖を呼び覚ましていた。
ミアルは初めて見る本物の殺し合いを前に、ただ立ち尽くすしかなかった。
ジュンの額には、玉のような汗がにじんでいた。
フェイリンの切っ先が、ジュンの体をかすめ始めた。
ジュンが刀を両手で構え直した理由が、ミアルにもはっきり分かっていた。――ジュンはもう、刀を片手で振れない。ジュンの右腕の傷から、手まで血がしたたり落ちていた。
ジュンの、死への秒読みが始まっていた。
ミアルの目から涙があふれた瞬間、ある感情が湧いた。――それはたまらなく身勝手で、幼稚なもの。
(みんな、どうして……どうして寄ってたかってジュン様を殺そうとするの……?
ひどいじゃない……)
悲しみが身体の奥から突き上げ、ミアルは崩れ落ちた。
その姿に、ミアルのそばで戦いを見守っていたシャオレイは衝撃を受けた。
シャオレイの知っているミアルは、いつも冷静で、度胸があり、一時の情に流されない侍女だったからだ。
そんなミアルが、泣き崩れていた。――男を愛する、ただの女のように。
(そこまで……ラン・ジュンのことを――!?)
シャオレイはそっと屈み、ミアルの震える背中をさすった。そうすることしか、できなかった。