小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第6話 偽りの死(2/3)
◆
宮中では、またたく間に噂が広がっていた。
正門の中の広場には、刺客の遺体を見ようと多くの野次馬が集まっていた。
青ざめたシャオレイは、ミアルとその場に飛んできた。人目さえなければ、全力で走りたかった。
(フェイリン……無事でいて!)
兵たちが、血まみれの遺体を担架で運んでいる。
シャオレイは野次馬をかき分け、遺体に近づいた。
ボロボロの黒衣。脇腹の傷。すべて、あの夜のフェイリンと同じだった。
シャオレイが覚悟して、顔をのぞき込むと――フェイリンとは似ても似つかぬ男だった。
シャオレイは、その場にへたり込んだ。安堵と同時に、疑惑がこみ上げる。
(じゃあ、これは誰――?)
不意に、シャオレイの上からミアルの声が降ってきた。
「姫様、だから言ったではないですか。
面白半分で見に行くのはおよしになってと……」
「……?」
ミアルに腕を抱えられて、シャオレイが立ち上がる。すると、いつのまにか到着していたメイレンたちが、シャオレイの目に映った。
その周りには、メイレン付きの侍女や宦官人たちがいる。使用人に似つかわしくない、鋭い目つきだ。
周囲の野次馬は静まり、頭を下げている。
シャオレイはすぐに心を落ち着け、メイレンに挨拶した。
メイレンが声をかけた。
「そなたも野次馬か?」
「ええ……あの恐ろしい刺客の顔を見たくて」
「今見に来なくても、じきに城壁に吊るされるぞ。
私は八つ裂きにしようと思ったが、寛容な陛下に反対されてしまった」
「……これで殿下も陛下も、ひと安心でございますね」
「――そういえば……猫の件はすまなかったな。あの宮女にはきつく仕置きしておいた」
メイレンは笑っていたが、その瞳は冷たい。
「いえ……たいしたことではございません。
それよりも、せっかくの殿下の好意を無駄にしてしまい、申し訳ないですわ。
――では、失礼いたします」
シャオレイは、その場を後にした。八つ裂きを提案し、たかが猫のことで宮女に罰を与えるメイレンに、内心震えながら。
◆
シャオレイは帰り道で、そっとミアルに言った。
「さっきは助かったわ」
「当然のことでございます」
シャオレイは息をついた。
(私ったら、動揺しすぎていたわ。
ミアルが小芝居してくれなかったら、皇后に疑われるところだった……)
一連のシャオレイの様子に、ミアルは違和感を抱いていた。
(刺客に興味がおありとは存じていたけど、それだけかしら……?
血相を変えて遺体を見に行かれたのは、ただの興味本位とは思えないわ)
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宮中では、またたく間に噂が広がっていた。
正門の中の広場には、刺客の遺体を見ようと多くの野次馬が集まっていた。
青ざめたシャオレイは、ミアルとその場に飛んできた。人目さえなければ、全力で走りたかった。
(フェイリン……無事でいて!)
兵たちが、血まみれの遺体を担架で運んでいる。
シャオレイは野次馬をかき分け、遺体に近づいた。
ボロボロの黒衣。脇腹の傷。すべて、あの夜のフェイリンと同じだった。
シャオレイが覚悟して、顔をのぞき込むと――フェイリンとは似ても似つかぬ男だった。
シャオレイは、その場にへたり込んだ。安堵と同時に、疑惑がこみ上げる。
(じゃあ、これは誰――?)
不意に、シャオレイの上からミアルの声が降ってきた。
「姫様、だから言ったではないですか。
面白半分で見に行くのはおよしになってと……」
「……?」
ミアルに腕を抱えられて、シャオレイが立ち上がる。すると、いつのまにか到着していたメイレンたちが、シャオレイの目に映った。
その周りには、メイレン付きの侍女や宦官人たちがいる。使用人に似つかわしくない、鋭い目つきだ。
周囲の野次馬は静まり、頭を下げている。
シャオレイはすぐに心を落ち着け、メイレンに挨拶した。
メイレンが声をかけた。
「そなたも野次馬か?」
「ええ……あの恐ろしい刺客の顔を見たくて」
「今見に来なくても、じきに城壁に吊るされるぞ。
私は八つ裂きにしようと思ったが、寛容な陛下に反対されてしまった」
「……これで殿下も陛下も、ひと安心でございますね」
「――そういえば……猫の件はすまなかったな。あの宮女にはきつく仕置きしておいた」
メイレンは笑っていたが、その瞳は冷たい。
「いえ……たいしたことではございません。
それよりも、せっかくの殿下の好意を無駄にしてしまい、申し訳ないですわ。
――では、失礼いたします」
シャオレイは、その場を後にした。八つ裂きを提案し、たかが猫のことで宮女に罰を与えるメイレンに、内心震えながら。
◆
シャオレイは帰り道で、そっとミアルに言った。
「さっきは助かったわ」
「当然のことでございます」
シャオレイは息をついた。
(私ったら、動揺しすぎていたわ。
ミアルが小芝居してくれなかったら、皇后に疑われるところだった……)
一連のシャオレイの様子に、ミアルは違和感を抱いていた。
(刺客に興味がおありとは存じていたけど、それだけかしら……?
血相を変えて遺体を見に行かれたのは、ただの興味本位とは思えないわ)