小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第61話 休戦協定
第61話 休戦協定(1/5)
洞窟の前に、朝もやがうっすらと漂っていた。
柔らかな朝日が、ミアルとシャオレイの顔を照らしていた。彼女たちの話を、フェイリンは少し離れた場所で聞いていた。
ミアルが言った。
「ラン・ジュンは、私が抑えます。
陛下やカナリア妃様たちに仇《あだ》なすときは――……ただちに始末しますので」
それから、ミアルは静かにひざまずいた。
「どうかお許しを……」
シャオレイはわずかに眉をひそめたが、すぐにミアルを立たせた。
「ミアル……ジュンを愛しているんでしょう?」
問いかけるシャオレイの声は、穏やかだった。
ミアルは答えを探すように、目を伏せる。
「それは――」
シャオレイは、首を横に振ってほほ笑んだ。
「いいの。あなたの気持ちが分かるから、責めようなんて思わないわ」
ミアルは「妃様……」と涙ぐんだ。
「あなたには残酷なことを頼んでしまったわ……」
「いいえ……最初は本当に乗り気だったのです。
だから、このように気持ちが変わるとは、自分でも思いもしませんでした。
すべては、私の予測の甘さです」
「そういうものよ……恋愛って。どこかで何かが狂ってしまうの」
シャオレイはそう言って、フェイリンをちらりと見た。
それからミアルは、手巾で涙を拭きながら言った。
「妃様のお手をわずらわせてしまうとは……私などのために」
シャオレイは優しく、だがはっきりと言い切った。
「あなたは、私の大切な侍女よ。
だから、放ってなんておけない」
「――ですが、宮中を離れたと陛下に知られれば……」
「分かってる。
罰を受けるかもしれない。でも……」
シャオレイは少しだけ目を伏せ、それから毅然と顔を上げた。
「あなたの命には代えられなかったの」
ミアルの目から、また涙がこぼれる。今度はシャオレイが拭いてやった。
やわらかい風が、ふたりの頬を撫でた。
やがて、ミアルは少し言いづらそうに切り出した。
「ところで……彼がおふたりに、お礼を言いたいと」
その一言に、シャオレイとフェイリンが怪訝そうに顔を見合わせた。
洞窟の前に、朝もやがうっすらと漂っていた。
柔らかな朝日が、ミアルとシャオレイの顔を照らしていた。彼女たちの話を、フェイリンは少し離れた場所で聞いていた。
ミアルが言った。
「ラン・ジュンは、私が抑えます。
陛下やカナリア妃様たちに仇《あだ》なすときは――……ただちに始末しますので」
それから、ミアルは静かにひざまずいた。
「どうかお許しを……」
シャオレイはわずかに眉をひそめたが、すぐにミアルを立たせた。
「ミアル……ジュンを愛しているんでしょう?」
問いかけるシャオレイの声は、穏やかだった。
ミアルは答えを探すように、目を伏せる。
「それは――」
シャオレイは、首を横に振ってほほ笑んだ。
「いいの。あなたの気持ちが分かるから、責めようなんて思わないわ」
ミアルは「妃様……」と涙ぐんだ。
「あなたには残酷なことを頼んでしまったわ……」
「いいえ……最初は本当に乗り気だったのです。
だから、このように気持ちが変わるとは、自分でも思いもしませんでした。
すべては、私の予測の甘さです」
「そういうものよ……恋愛って。どこかで何かが狂ってしまうの」
シャオレイはそう言って、フェイリンをちらりと見た。
それからミアルは、手巾で涙を拭きながら言った。
「妃様のお手をわずらわせてしまうとは……私などのために」
シャオレイは優しく、だがはっきりと言い切った。
「あなたは、私の大切な侍女よ。
だから、放ってなんておけない」
「――ですが、宮中を離れたと陛下に知られれば……」
「分かってる。
罰を受けるかもしれない。でも……」
シャオレイは少しだけ目を伏せ、それから毅然と顔を上げた。
「あなたの命には代えられなかったの」
ミアルの目から、また涙がこぼれる。今度はシャオレイが拭いてやった。
やわらかい風が、ふたりの頬を撫でた。
やがて、ミアルは少し言いづらそうに切り出した。
「ところで……彼がおふたりに、お礼を言いたいと」
その一言に、シャオレイとフェイリンが怪訝そうに顔を見合わせた。