小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第61話 休戦協定(4/5)


 それからシャオレイは馬にまたがり、その首を撫でていた。

 ミアルとフェイリンは、少し離れた場所で話をしている。
 ミアルは「カナリア妃様を、よろしくお願いします」と言って、深く頭を下げた。

 だが、フェイリンは腕組みをしたまま、きっぱりと返した。
「頼まれなくても、シャオレイは俺が守る」

 彼が“シャオレイ”と口にしたその瞬間、ミアルの目にわずかな驚きが宿った。だが、冷静に返した。
「では、何があっても――シャオレイ様をお守りくださいませ」

「当たり前だ」

「――私の夫を助けてくださったお礼になるかは、分かりませんが……。
シャオレイ様がこの2ヶ月半を乗り越えられたのは、フェイリン殿のおかげです」

 フェイリンはわずかに眉を上げた。

「シャオレイ様はずっと……あなたの贈ったかんざしを身につけていらっしゃいました。そして、夜はあなたの作った隠し部屋で眠って……」

「そうするように、俺が言ったからな」

「シャオレイ様の心を支えていたのは、フェイリン殿です。
……シャオレイ様は落ち込まれていても、あなたの話をすることで、前向きになられていたのですよ」

 そう言ってほほ笑むミアルに、フェイリンは怪訝そうな顔をした。
「……なぜそんなことを俺に教える?そなたは、ダン・ゼフォンの側じゃないのか?」

「私は、シャオレイ様に忠誠を誓っております。ゆえに、主の幸せを願っているだけです」

 ミアルは、シャオレイをフェイリンに託してもいいと考えていた。だから、フェイリンに伝えたのだ。
(陛下は幼なじみだし、お命《いのち》は守りたい。
でも……あの方は妃様を追い詰める)
 ミアルは、最後にもう一度深々と頭を下げた。

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