小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第7話 寵姫の甘い夜(2/4)




 ゼフォンが伽に来たのは、刺客のことがある程度落ち着いたからだ。
 ふたりは食事の後、長椅子に腰かけてお茶を飲みながら語り合っていた。だが、刺客の話題は一切しなかった。

 ゼフォンが後宮には癒しと安らぎを求めていると、シャオレイは知っている。それもあるが、なんとしてもこの空気を守りたかった。
 シャオレイは、今夜再び”夫との初めての夜”を迎えるのだ。

 シャオレイの感動を露とも知らないゼフォンは、何気なく卓の上の紙束を手に取り、パラパラとめくった。
「詩か?」

「ええ。七夕の宴で歌おうと思って、作ってるの。ねえ、どれがいいかしら?」
 シャオレイは、期待を込めてゼフォンを見つめた。

「そなたが歌えば、どんな調べもカナリアのさえずりとなり、人々を酔わせるであろう……」

 その即答に、シャオレイは一瞬だけ動きを止めた。
(やっぱり、あまり興味ないのね)

 ゼフォンは講師から詩を学ばされていたが、あくまで教養として身に着けただけだった。音楽にもこだわりがなく、場にふさわしい調べであれば、それでよかった。

 シャオレイの胸にほんの少しだけ、すきま風が吹いた。だが、笑みは崩さなかった。
(でもいいの……ゼフォンは私を褒めてくれてるだけ。そんなところも、愛してるわ)
 心に浮かんだ違和感を、シャオレイは静かに飲み込んだ。

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