小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第7話 寵姫の甘い夜(4/4)



 窓の外では、月がゆっくりと昇り始めていた。
 ゆらめく油灯が、淡い橙の光で寝所を照らしていた。

 絹の帳《とばり》の中で、シャオレイはゼフォンの膝の上にいた。ゼフォンに髪をとかれながら、両手で彼の頬を撫でまわし、翠玉の瞳で彼をとらえて離さなかった。

 ふたりは何度も触れるだけの口づけを繰り返し、やがて深く、息も奪うほどに溶かしていった。

 あどけなくもあでやかなシャオレイのさえずりに、ゼフォンの胸の奥は、甘く満たされていた。
 ゼフォンはシャオレイの背中を優しく撫でながら、耳元でささやいた。
「今日は、一段と熱いな……」
 ゼフォンの低く甘やかな声が、シャオレイの耳たぶを撫でる。

 シャオレイは目に涙をにじませ、ささやいた。
「だって……久しぶりに会えたんですもの……」

 ゼフォンは喉の奥で小さく笑う。
「前の伽から、10日しか経ってないぞ……。
それに、昼間にも会っていたじゃないか」

 前世の悲しみを思い出したシャオレイの瞳から、涙があふれた。
「ゼフォンが恋しかったの……ずっと、ずっと待ってたのよ……ひとりぼっちで。
でもあなた……夢にしか出てきてくれなかったわ……」

 ゼフォンは「我が寵姫は、ずいぶんと寂しがりだ」と言って、シャオレイの涙を唇で拭った。

 シャオレイは、ゼフォンにすがるように抱きついた。
「もう離さないで……ずっと、そばにいて……!」
「カナリアは予の小鳥。決して離すまい――」
 ゼフォンは深く口づけ、シャオレイを自分の胸にしっかりと抱き寄せた。細い肩も、震える熱も、すべてを包み込むように。

 月はすっかり高く昇り、帳《とばり》の中はふたりの吐息と甘い熱に満ちていた。
 ふたりはすきまを埋めるように、深く深く溶け合う。

 前世で途切れてしまった深い悦びが、シャオレイの胸を満たしていた。
(お願い、夜明けなんて来ないで――もう二度と離れたくないの……。
今度こそ、ゼフォンと共白髪《しらが》になるまで添い遂げるの……。
私なんでもするから、どうか小鳥よ……願いを叶えて)

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