小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第8話 攻防戦の始まり(3/5)


 フェイリンはシャオレイの真っすぐな目を見つめていたが、やがて息をついて言った。
「俺に媚びるな」
 低く吐き出した声に、フェイリン自身にもわからない熱が混じった。

 眉を上げたシャオレイに、フェイリンが続けた。
「……それで、そなたは今何を企んでいる?」

 シャオレイは、自身の計画を話した。
「――七夕の宴はくだけた場だから、大勢の文化人が来るわ。
今までの宴は、一部の高官と皇族しか参加しなかったけど、今度は誰かの目に留まるかもしれない。
名家とつながりを持つには、文化人たちの心をつかまなくちゃ……」

 シャオレイはちらりとフェイリンの様子を伺った。
(媚びるなと言われたけど、本当にこんな感じでいいのかしら……?
変わった人ね)

 フェイリンが口を開いた。
「意外と真っ当な手を使うんだな、妖女なのに」

「……」

「だが、それが賢明だろう。
メイレンの目が光る後宮で、他人を陥れて昇格しても、すぐに露見して処刑だ。
宴の文化人たちに狙いを絞ったのも最良だ。
高官は青楼出身のそなたを受け入れないからな」

 シャオレイは媚びるのをやめたとたん、無遠慮な物言いをするフェイリンへ腹が立ってきた。だから、「あなたもね」と、フェイリンをチクリと刺した。

「俺は受け入れないとは言っていない」

 顔色ひとつ変えずに返したフェイリンに、シャオレイはバカバカしくなった。
「別にケンカする気はないわ。――ねえ、どの歌詞が文化人たちに響くかしら?」

 フェイリンは、シャオレイに自作の歌詞を渡されたが、すぐに眉をひそめた。そこには、甘い恋の歌詞がビッシリと書いてあったからだ。

 シャオレイは「見ちゃダメ!」と、あわてて歌詞をひったくった。煩悩を払うように、頭を振った。
(気を引き締めなくちゃ。いくら久々だったとはいえ、昨夜の伽で頭がいっぱいになっていたわ。
これじゃ、皇后に”愚かな小鳥”って笑われるのも当然よ)

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