小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第10話 誘う歌声(4/6)




 軍議を終えたゼフォンは、皇太后の元へ向かっていた。チャオ内侍を筆頭に、宦官たちが静かについていく。

 ゼフォンの胃の奥がきしんでいた。
 臣下たちは皆、ゼフォンを“案じている”という。――だが、その事実こそが、ゼフォンを無力だと突きつけてくる。

 ゼフォンは、彼らは敵ではないと、頭では理解していた。だが、敵よりも信頼できない味方ほど、神経をすり減らす存在はない。
(母上とルー将軍は予を幼子扱いし、リーハイはあなどってくる。
あやつらは、予をいったい何だと思っておるのだ……)

 ゼフォンは小さく呟いた。
「予は、この天下の統治者であるぞ……!」
 誰に誇るでもなく、誰に示すでもなく、ゼフォンはただ、心の奥にそれを刻む。
 それは、支配者の誇りではない。――責任と覚悟を背負う者の、静かな決意だった。

 ゼフォンはイラ立ちを追い払うかのように、大きく息をつく。
 そんなとき、ゼフォンの脳裏をかすめたのは、カナリアの笑顔だった。彼は今すぐにでも、シャオレイのさえずりを聞き、癒されたかった。
 ゼフォンの足は自然と、瑶吟堂《ようぎんどう》へと向いていた。
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