小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第10話 誘う歌声(5/6)
◆
瑶吟堂の琴房には、シャオレイの歌声が響いていた。
そこへフェイリンの奏でる琴の調べが、彩りを添えていた。
(12年ぶりに弾いたが、指が覚えていた。祖母上から無理に習わされていたが……)
かつて、渋々琴を習うフェイリンへ祖母が言った。
『武家の男こそ、雅に琴を奏でて求婚するのです』
フェイリンは、漣のように舞い小鳥のようにさえずっているシャオレイを見ながら眉を寄せた。
(――ありえん)
一方シャオレイは、フェイリンの琴の腕に感心していた。
(刺客なのにね。しかも好きにやれと言ったくせに、やけに協力的だわ……)
シャオレイが歌い終わると、フェイリンは無表情で言った。
「まあ、聴けるな」
「なんか引っかかる言い方ね」
「歌詞を足しただろう。それが余計だ」
「恋の一節よ。いいじゃない、文化人たちにも愛する者はいるでしょう?」
「……くだらん」
「あらそう」
(あなたは情欲しかないものね)
シャオレイが座っているフェイリンの顔を覗き込んだら、彼は目をそらさなかった。
対価として、シャオレイがゆっくりと彼の唇に重ねようとした瞬間――扉の外からチャオ内侍の声が響いた。
「陛下のお越し!」
シャオレイはあわててフェイリンを物陰に押し込め、鏡を見て身なりを軽く整えた。
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瑶吟堂の琴房には、シャオレイの歌声が響いていた。
そこへフェイリンの奏でる琴の調べが、彩りを添えていた。
(12年ぶりに弾いたが、指が覚えていた。祖母上から無理に習わされていたが……)
かつて、渋々琴を習うフェイリンへ祖母が言った。
『武家の男こそ、雅に琴を奏でて求婚するのです』
フェイリンは、漣のように舞い小鳥のようにさえずっているシャオレイを見ながら眉を寄せた。
(――ありえん)
一方シャオレイは、フェイリンの琴の腕に感心していた。
(刺客なのにね。しかも好きにやれと言ったくせに、やけに協力的だわ……)
シャオレイが歌い終わると、フェイリンは無表情で言った。
「まあ、聴けるな」
「なんか引っかかる言い方ね」
「歌詞を足しただろう。それが余計だ」
「恋の一節よ。いいじゃない、文化人たちにも愛する者はいるでしょう?」
「……くだらん」
「あらそう」
(あなたは情欲しかないものね)
シャオレイが座っているフェイリンの顔を覗き込んだら、彼は目をそらさなかった。
対価として、シャオレイがゆっくりと彼の唇に重ねようとした瞬間――扉の外からチャオ内侍の声が響いた。
「陛下のお越し!」
シャオレイはあわててフェイリンを物陰に押し込め、鏡を見て身なりを軽く整えた。