小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第11話 嫉妬の旋律(3/6)




 シャオレイは、寝殿でミアルに問いかけた。
「……陛下に報告する?」

 ミアルは、ゆっくりと首を振った。

 密通《みっつう※》を犯した自分をミアルがすんなり見逃すことに、シャオレイは納得できなかった。 [※配偶者以外とひそかに性的関係を持つこと]
「どうして?」

 ミアルは静かにほほ笑んで、「カナリア姫様は、使用人としての心得をご存じですか?」と言った。
 首を振るシャオレイへ、ミアルは答えた。
「一度決めた主を、けっして裏切らぬことです。
二心《にしん※》を持てば、身の破滅につながります。
その覚悟が無ければ、宮中では生き残れません。
――姫様には、ただならぬ事情がおありなのでしょう?」 [※そむこうとする心]

 ミアルの深い覚悟に心を打たれたシャオレイは、うなずいた。

 ミアルは「ですが……」と続けた。
「私が蚊帳《かや》の外に置かれるのは耐えられません。
事情をすべてお聞かせください」

 ミアルの真剣なまなざしに、シャオレイはすべてを打ち明けた。

 自分の額の小鳥が、”皇后が皇帝を狙っている”と予言したこと。
 自分が皇后を倒そうとしていること。
 そのために、さっきの男へ協力していることを――

 本当は予言ではなく、シャオレイが前世で体験したことだ。だが、それは伏せた。
 ”回帰転生”などあまりにも荒唐無稽で、逆に不信感を抱かれるからだ。

< 53 / 233 >

この作品をシェア

pagetop