小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第12話 計略は毒の香り(5/6)




 早速シャオレイは、シュエン妃の宮――芳沁宮《ほうしんきゅう》を訪れた。ミアルとロウ侍医も、同行している。
 シャオレイはまず、シュエン妃へ薬湯を無駄にしたことを謝罪した。

「――薬湯?毒……?何のことかしら?」
 シュエン妃は、きょとんとしている。

 シャオレイは内心で笑った。
(シュエン妃はとぼけるつもりね)

 それから、シュエン妃は侍女に問いかけた。すると、侍女はすんなりと、独断で毒を送ったことを白状した。
「なんてことを!!」
 シュエン妃は激怒し、侍女を責め立てた。

 その直後、メイレンがミンシーを従えてやって来た。

 シャオレイは挨拶をしたが、内心は冷ややかだった。
(あら、早いわね。内々で処理するつもりかしら)
 だが、シャオレイはメイレンの姿に、引っかかるものを感じた。メイレンの目に、わずかな動揺が見て取れたのだ。
(――そういえば、皇后のしわざにしてはやり方が雑だわ)

 メイレンがうやうやしく、シャオレイに頼んだ。
「陛下のお心を煩《わずら》わせたくない。
どうか、この件は内々で処理させてくれぬか?」

 シャオレイは、その言葉を冷静に受け止めた。
(陛下を暗殺するまで、なるべくおとなしくしておきたいんだわ。
単独犯の侍女を掖庭獄《えきていごく※》送りにして、決着ってところね) [※女性専用の懲罰・拘禁施設]

「皇后殿下に、すべてお任せいたします。
――でも、何もなくて良かったですわ。
もし私が、陛下のお気に入りの歌が歌えなくなってしまったら……」
 シャオレイは、シュエン妃とその侍女へ、ほほ笑みを送った。
 だがそこには――”陛下の怒りに触れるわよ?”という、凛とした警告が込められていた。

< 61 / 238 >

この作品をシェア

pagetop