小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第13話 羽の休まる場所(2/6)




 フェイリンは宦官に化けて揺吟堂《ようぎんどう》――シャオレイの元へ向かいながら、自省していた。
(この前はさすがにやりすぎた。あれでは獣だ……)



 揺吟堂では、シャオレイが毎日”七夕の宴”の練習をしていた。舞い、歌うことで、晴れない気持ちを紛らわせていた。

「歌妓じゃないんだから、もっと媚びを隠せ」
 聞き慣れたぶっきらぼうな声が、シャオレイの後ろから響く。

 シャオレイが振り向くと、そこにはフェイリンが立っていた。その姿を見た瞬間、シャオレイは安堵した。

「俺のいない間に何か起きたか?」

 フェイリンに問われ、シャオレイは自分がシュエン妃に毒を盛られたことを冷静に話した。だが、揺れ動く心を抑えるので精一杯だった。

 フェイリンの目にはこの前の熱がわずかに残っていたが、シャオレイの動揺を見ているうちに、それは薄れた。

 フェイリンが口を開いた。
「ダン・ゼフォンには言ったのか?」

「言えないわよ……。火種をまき散らすだけだもの」

 シャオレイがぽつりとこぼすと、フェイリンの胸の奥に熱が灯った。
(――俺には言える、か)
 自分だけに明かされる、シャオレイの想い。それがたとえかりそめでも、フェイリンの心を満たす。

< 64 / 244 >

この作品をシェア

pagetop